仕事、お金、暮らし、老後…ARIA世代が抱えるさまざまな悩み。親世代とは社会も暮らしも大きく変わっている今、もはやロールモデルは存在しません。これからどう未来を描けばいいのか。40代、50代の働く女性の悩みをARIAちゃんがお預かりして、経済評論家・勝間和代さんと一緒に考えていきます。3回目は「定年後のお金」にまつわるお便りです。

今月のお便り:販売業・Yさん(44歳・既婚)
世の中では定年までに「老後資金2000万円をためよ」と言われていますが、本当に必要なのでしょうか? 逆に、2000万円あれば大丈夫なのか……。年金以外に、不動産収入があるわけでもないですし、今から老後が不安です。定年後のお金について、何をどう考えておけばいいのか教えてください。

2000万円はすべての人に当てはまる額ではない

ARIAちゃん(以下、ARIA) 定年後のお金問題について悩めるARIA読者からこんなお便りが届いています。

勝間和代さん(以下、勝間) 「老後資金2000万円問題」というのは2019年に金融庁が行った、夫65歳以上、妻60歳以上の無職の夫婦が年金で暮らす場合をモデルに試算した老後資金の不足額です。インパクトのある数字だったため一人歩きしましたが、そもそも全員に該当する数字ではありません。老後の生活は、年金を含む収入と支出の収支バランスを取る、というのが正しい考え方です。

 まず定年退職後、年金を含む老後の収入が自分1人もしくは夫婦2人でいくらあって、それから月々の生活費を引くとどのくらいマイナスになるのか、という計算をしてみてください。教育費などの支出はなくなりますよね。実家に戻ったり、郊外に引っ越したりする予定の人は、それらも踏まえて生活費にいくらかかるかを考えてみてください。

 その計算で、年金から支出を引いた結果がどのくらいマイナスになるかということ。プラスになれば、理論上、老後資金をためておく必要はありません。マイナスになる場合は、その不足額によっては2000万円あっても足りなくなる恐れがあります。