女性リーダーには、仕事における振る舞いに共通の傾向があり、それがキャリアの行く手を阻んでいる――。そう提唱するのは、女性のリーダーシップ開発の第一人者、パーソナルコーチのサリー・ヘルゲセンさんです。この連載では、リーダー層の女性がキャリアをさらに前に進めるために認識しておくべき「癖」について、サリーさんが解説。今回のテーマは「自分を矮小化する」「やり過ぎる」です。

 今回ご紹介するのは、コミュニケーションに関する女性の癖、「自分を矮小化すること」と「やり過ぎること」です。どちらも、自分が言いたいことを相手にクリアに伝えるのを妨げてしまうものです。

 リーダーになった女性の多くが、これらの点においてかなり苦労しているのを私は見てきました。慎み深く、表に出ないことが評価される文化で育てられた女性には、矮小化の癖はとりわけ対応が難しいでしょう。日本もそうかもしれません。

言おうとしていることの価値を自ら小さくしてしまう

 例えば何かを言い出すときに、「これは重要じゃないかもしれませんが」と前置きをしたら、聞いた人はどう思うでしょうか? 「既にお考えになっているかもしれませんが」「『ちょっと』お伝えしたいんですけど」……これらはどれも、自分のメッセージを伝えるのにあまりいいやり方ではありません。ほとんど「重要ではない」と言っているようなもので、自分に自信がなく、また話す内容にも自ら疑いを持っている形になります。

 言おうとしているのは重要なことなのに、その価値を自ら小さくしてしまう。これは他の人にとってもいいことではありません。

「リーダーになった多くの女性が、コミュニケーションに関わる『癖』で苦労しているのを見てきました」
「リーダーになった多くの女性が、コミュニケーションに関わる『癖』で苦労しているのを見てきました」