完璧主義のリーダーはまず、他人を信頼できません。そのため仕事を委譲できず、結果として、その人がスキルを発展させる機会を奪うことになります。また、正確さや緻密さにこだわるあまり、往々にして大局的な観点を失ってしまいます。すべてを完璧にやろうとすると、リスクを取りたがらない傾向に陥りますが、リスクを回避していてはより高いレベルには行けません。物事を前進させるには、大局的な観点からものを見て、大胆な考え方をとる必要があります。

実現不可能な完璧を求めるリーダーとは、誰も働きたくない

 しかし、私たちが考えるべき一番重要なことは、他の人と働くときに多くのストレスを生むということです。人間が完璧であることは現実的に不可能なこと。常に高い水準を期待する態度は人を怖気づかせ、仕事への意欲を失わせます。完璧さを求めることは成功にはつながりません。

 私はこの仕事を30年間やってきましたが、完璧主義のボスを好ましく思うと言った人は誰もいません。誰一人、完璧主義のボスの下では働きたくないのです。高いキャリアに行けば行くほど、高い期待値が、自分自身の首を絞めてしまうことになるのです。

構成/谷口絵美(日経ARIA編集部)