女性リーダーには、仕事における振る舞いに共通の傾向があり、それがキャリアの行く手を阻んでいる――。そう提唱するのは、女性のリーダーシップ開発の第一人者、パーソナルコーチのサリー・ヘルゲセンさんです。この連載では、リーダー層の女性がキャリアをさらに前に進めるために認識しておくべき「癖」について、サリーさんが解説。初回は、来日したサリーさんに羽生祥子編集長が行ったインタビューをお届けします。

若手時代には良い行動が、リーダーになると「悪癖」に変わる

日経ARIA 羽生祥子編集長(以下、――) サリーさんの本に書かれている「女性が取りがちな行動」は、「あるある!」の連続でした。ただ、どれも日本人特有の悪い癖だと思っていたので、グローバルに共通するということが驚きでした。

サリー・ヘルゲセンさん(以下、敬称略) そうですね、日本の女性に限った話ではありません。私は30年にわたって世界中の素晴らしい女性リーダーと関わり、彼女たちが自分の強みを認識し、表現できるようお手伝いをしてきました。その中で、女性には男性とは異なる、キャリアを行き詰まらせてしまう習慣や振る舞いの傾向があることを学びました。

 本ではこれを「悪癖」と紹介していますが、一つ強調したいのは、ポジティブな習慣でもあり得るということです。例えば仕事が正確で緻密なことは、キャリアの早期の段階ではむしろ良いほうに機能していたはずです。しかしキャリアの後期になり、リーダーの立場になったときに、それが悪い影響を及ぼすようになります。完璧を求めることは、自分自身にも周囲にも大きなストレスを与えることになってしまうからです。

「キャリアを行き詰まらせてしまう習慣や振る舞いについて、女性には男性と異なる傾向があります」
「キャリアを行き詰まらせてしまう習慣や振る舞いについて、女性には男性と異なる傾向があります」

 かつては評価や昇進の対象となっていた習慣や振る舞いが、キャリアの足を引っ張ることになる。そういうものがあることに気づくのが、最初のステップです。