明確な貢献は自らきちんと伝えるべき

―― 早速ですが、具体的な「癖」についてお話を伺っていきます。まずは「自分の実績をきちんと言わない」と「あなたの仕事ぶりを他の人が自然に気づいて報いてくれると期待する」の2つについて。男性はセルフアピールが強過ぎる欠点もあるけれど、女性はそれが弱過ぎるということですね。

サリー はい。「こんなにいい仕事をしているのだから、誰かが気づいてくれるはずだ」と思ってしまうんですね。また、誰かの注意を引いたり、「私はこんなことをしています」とアピールしたりすることは、周囲や相手に良い印象を与えないと考えてしまう。

 自分としてはすごくいい仕事をしているつもりなのに、誰も気づいてくれない。そのことで、周りの人と自分との間に距離を感じるようになります。また、感謝されない、認めてくれないことにだんだん怒りが湧き、仕事へのモチベーションも低下します。

 明確な貢献というものは、自ら他の人に示すべきなのです。自分を売り込んでいるようで嫌だと思わずに、情報をきちんと伝えることが重要です。

―― 自分で言わないのは怠慢ということでしょうか? 日本では、例えばエレベーターで男性上司と乗り合わせたときに、あまり自己アピールをすると、悪目立ちをするリスクがあります。後日、男性の間でネガティブな噂をされるのが目に浮かびますよ。

サリー 自ら伝えるというのは、いろんな人にとにかくアピールしなさいということではありません。例えば社内で非常に地位のある人と偶然同席する機会があって、「君はどこの人? 何をしているの?」と聞かれたときに、きちんと説明できるように準備しておくということです。

 ただ「営業です」「法務です」だけではなく、明確に、正確に、自分がどういった貢献をしているか、なぜ自分のやっていることが価値を生むのかを言うことができる。常に「準備が整った状態でいること」が大事なのです。

サリーさんは今年1月28日、東京で行われた「グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット2019」で基調講演を行った
サリーさんは今年1月28日、東京で行われた「グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット2019」で基調講演を行った

「気にし過ぎ」が女性の前進を阻む

―― 「女性リーダーは、女性に潰される」なんていう嫌なフレーズがあるように、女性同士の目も気になります。