39歳でコピーライターとして独立してから9年目。フリーランスの毎日は、会社員とはまったく違う世界が広がっていた。特にスターでもないのに独立したこやま淳子が、何故フリーでやっていけるのか。どんな人がフリーに向いているのか。フリーの悩みや解決法を織り交ぜながら、いま独立を考えている方にも役立つお話を書いていきます。

 世界には、フリーランスに向いている人と、組織に向いている人がいます。

 と、それっぽい文章で始めてみました。こやま淳子と申します。コピーライターという広告企画業を営んでいまして、2010年に独立。最近では、この日経ARIAや日経doorsのブランド広告も制作しました(ブランドムービーが好評なので、ぜひご覧になってくださいね 日経ARIAブランドムービー)。

 冒頭の話に戻りますと、明らかに私はフリー向きの人間でした(当人比)。会社員時代、特にスターでもなかった私ですが、独立して今年で9年目。それまで小規模・中規模・外資系・大規模と、4種類の会社員生活を経験しましたが、圧倒的にいまがいちばん楽しいのです。

コピーライターのこやま淳子さん
コピーライターのこやま淳子さん

フリーになる。それは、得意な仕事で生きること

 そもそも私は、若い頃から「いつかはフリー」と思っていました。それは、組織で偉くなるよりも、技術を磨いて生きる方がカッコイイ、という価値観があったから。大企業の社長より、おいしいトンカツ屋さんとか、漆喰を美しく塗る左官屋さんとか、そういう「職人」の仕事にロマンを感じるのです。

 職人だったら会社でもできるよね? というご意見もあるかもしれません。けれど会社員というのは、本質的に会社の都合で仕事せざるを得ない生き物。不得手な仕事をまわされたり、興味のない職種に配属されたりすることもある。

 もちろん、会社の要請に応えることが得意な人もいるでしょう。組織の中で出世することを楽しめる人もいる。ダイナミックな仕事をする機会も多いでしょうし、会社の名前がなければ関われないような仕事もきっとある。

 けれど、フリーの仕事は、すべてが自分に来た仕事です。そのやりがいは想像以上に大きいし、基本的に自分の得意な仕事しか来ない。仕事すればするほどお金が稼げる上に、またその仕事が得意になる。そんなステキな循環がやってくるのです。

 そんなわけで、ずっと独立したかった私。なのに15年も独立しなかったのは、ただただ覚悟と貯金がなかったから。