覚悟も貯金もなかった私が、独立を決めたきっかけ。

 2008年の夏、30代も終わりが近づき焦っていた私は、「よく当たる」という占いに出かけました。

「独立するなら2010年がいいわよ」

 その占い師は言いました。

「貯金も来年はできるわよ。それにあなた、使いすぎなのよ」

 お金を使いすぎれば貯金できない。小学生にも言えるような助言でしたが、当時の私にはありがたかった。「来年は貯金できる」という催眠効果もあったのか、その後、目標額200万円(超絶貯金できない女である私には奇跡みたいな金額)を1年半で貯めることができたのです。まあ要するに、やっと覚悟ができたんですね。そして、私は39歳のときにコピーライター「こやま淳子」として独立しました。

東麻布のこやま淳子事務所。自分の好きなモノしかないので、出社するたびに幸せな日々です
東麻布のこやま淳子事務所。自分の好きなモノしかないので、出社するたびに幸せな日々です

 よく「占いに頼るなんて」と言う方もいますが、あそこまで無防備に誰かに相談できる機会が他にあるでしょうか。その結果私は、独立の意志を初めて言語化し、貯金という課題に向き合えた上に、2010年という区切りもできた。ついでに「占いで決めた」って言うと、「おまえごときが独立かよ」という同業者間の空気をやわらげる、という良さもあった気がします。