女子サッカー選手、川澄奈穂美さんの生理痛体験談
第2部は米国で活躍中のサッカー選手、川澄奈穂美(かわすみ なほみ)さんの体験談を聞きました。
「生理は我慢して乗り越えるもの」との思い込みがあった…
川澄奈穂美(かわすみなほみ)さん
生理痛の記憶は大学生くらいからですが、「薬はのまないほうがいい」という根拠のない思い込みで、痛み止めものまずにとにかく痛みに耐えて、生理が終わるのを待っていた感じです。それが普通だと思っていました。
当時、大学でもスポーツ選手の生理について教えてくれる人はいませんでしたし、生理の1~2日目は、いつもお腹が痛かったけれど、それでもプレーできないほどではなかったので、積極的に対策を調べようともしませんでした。産婦人科に相談に行くことなんて考えませんでした。
そんな私が、低用量ピルと出会ったのは20代半ば、2011年のワールドカップの前あたりです。サッカー女子日本代表のチームドクターが婦人科専門の先生で、生理のメカニズムの講義をうける機会があり、なぜ生理が来るのか、なぜ痛いのか、生理痛を我慢すると子宮などのトラブルにつながることなども知りました。
ドクターの話を聞くまでは、低用量ピルは避妊薬だと思い込んでいましたが、生理痛の治療薬でもあり、症状が楽になる、ドーピングにも引っかからない薬と聞いて、使ってみようかな、と思えたのです。体のことを理解したうえで、信頼できる医師とメリットやデメリットについて、しっかり話ができたことが大きかったです。
私の場合は、低用量ピルをのんだら、痛みが楽になって、快適に過ごせるようになりました。経血の量も少なく、期間も短くなりました。昔は出血の多い生理二日目の練習中に、ナプキンが落ちる寸前で止めてクラブハウスに駆け込むなど、ヒヤヒヤ体験もありましたが、いまはそうしたメンタル的なストレスからも解放されています。
若いときに、生理についての知識を得ることは大事
今は日本の女子サッカー選手も、低用量ピルを服用している人は増えてきたと思います。10年前はめずらしかったけれど、最近は当たり前になっていて、のむ、のまないを選択できる時代になったと思います。
いま思うことは、日本にも中学生、高校生のときから、気軽に産婦人科に行きやすい空気があったらいいのにということ。若い年代で知識を得ることは、とても大事です。私自身、無知な10代でしたが、そのあと産婦人科医と出会って、知識を得て、生活が変わりました。一人ひとりにあった生理とのつき合い方があると思います。正しい情報を知って、快適な自分の生活のために行動に移してほしいと思います。