育休取得への環境作りが「withコロナ時代」の働き方につながる

イクメンプロジェクト推進委員の高村静さん(中央大学大学院戦略経営研究科准教授)、国保祥子さん(静岡県立大学経営情報学部准教授)、日経BP・日経xWOMANの羽生祥子編集委員は、今回の受賞企業・受賞者の真摯な「本気」度を高く評価。次のような総評があった。

シンポジウムのパネルディスカッションの模様。右から積水ハウス・伊藤みどりさん、高村さん。コーディネータを務めた羽生編集委員。リモートで参加した国保さんと技研製作所・溝渕千賀さん
シンポジウムのパネルディスカッションの模様。右から積水ハウス・伊藤みどりさん、高村さん。コーディネータを務めた羽生編集委員。リモートで参加した国保さんと技研製作所・溝渕千賀さん

◇高村さん総評
技研製作所は育休への不安や阻害要因を丁寧に抽出し、上司の理解、本人の納得の上での取得を進めている繊細さが秀逸。江崎グリコの父と子のコミュニケーション支援も目をひいた。育休中は生き方、どういう家族を作っていきたいかを夫婦で話し合い、働き方自体を見直す機会にもなる。取組の背景や方針の中に“社員の満足や幸せ”という言葉が出ており、コロナ禍で不安な中に力強さを感じた。

◇国保さん総評
男性の育休で全社100%取得をうたうものの、取得日数が数日という企業もまだ多い中、積水ハウスは配偶者の出産から3年以内ではあるが、1カ月の育休取得100%を達成。人事評価と紐づけないことを明言するなど本気の努力の賜物。前例のないコールセンター在宅勤務化を実現し、地方で働きやすい環境を構築するプロトソリューションの取組も高く評価したい。コロナ禍に限らず、均一化された管理に限界がきている今日、“会社がダイバーシティに取り組み、個々の社員のことを考えている”が企業・団体の見事な取組を知る機会となった。

◇羽生編集委員総評
毎年、選ばれる企業や管理職の取組がますます精緻に、徹底してきていると感じる。今回はそこに、コロナ禍での経営者の覚悟や迅速な対応が求められた。このような非常事態でこそ、子育て社員の「働く・育てる」から目をそらさず、企業が社会の長期的な成長を考えることが大切だと思った。

取材・文/加納美紀  撮影/吉澤咲子 構成/太田留奈 タイトル背景/iStock