男性社員の育児と仕事の両立を推進するイクメン企業アワード各社

<<技研製作所>>
技研製作所は男性職員が8割を占める建設機械の製造・販売を展開する高知県の企業。2010年度から18年度まで男性育休取得は皆無だった。そこで全社員に「男性育休に関する知識・意識調査」を実施し課題を明らかにした上で対策を行った。育児休業期間中の収入への不安の軽減として休業期間中の収入予測ツールを紹介。対象者と上司への説明会では「妻の負担を軽減してあげられるのは夫しかいない」ことを伝え、意識改革にも力を注いだ。結果、19年度の男性の育休平均取得日数110.2日と、応募企業の中でも群を抜くレベルに。こうした支援策により、男性職員が8割を占める製造業においても結果を出せることを実証した。

<<積水ハウス>>
「出産後3年以内に1カ月以上」「最大4回の分割取得可能」「昇給・昇格・賞与や退職金算定に影響しない」といった同社独自の「イクメン休業制度」には、男性目線での“育休が取得しやすい工夫”が満載だ。また、高評価を受けた「家族ミーティングシート」は、夫婦の家事・育児分担ツール。子どもの予防接種のスケジュール管理、保育園連絡帳の記入からミルクや離乳食の支度・片付けなど、項目ごとに「現状・育休中・育休後」の分担を夫婦で話し合って記入し会社に提出するようになっている。夫婦の子育て体制を可視化し、妻の育児負担の軽減に非常に有効なアイデアだ。さらに育休の日を制定。かつ、日本全体のイクメンの実態を調査する「イクメン白書」作成・公開するなど、社会全体の機運の醸成にも貢献している。

<<双日>>
男性の育児休業取得率は、15年度の4%から19年度には55%と大躍進。後押ししたのは早期復職時の保育料全額補助や時短フレックス導入など、働き方支援、キャリアを止めない多彩な施策が高く評価された。コロナ禍による休園・休校にパパママ社員が対応するための特別休暇措置、時短勤務よりさらに短時間のテレワークができる段階的復職措置など、臨機応変な制度設計も見事。同社の全部長が「双日イクボス宣言」に署名しているという、この点に双日の企業としての“本気”が感じられる。

<<江崎グリコ>>
20年1月より生後6カ月以内に1カ月の休暇取得が必須という独自の有給制度「Co育てmonth」を導入。17年度は4%だった男性の育休取得率は今年度に100%を達成した。6月には同社オリジナルの子育てアプリに健康無料相談機能を急遽追加し、コロナ禍で増えた子育ての悩みに遠隔で答えるサービスで対応。栄養士によるパパ向け調乳指導もオンラインで実施し男性から好評を得たとのこと。このほかパパ向けの子どもとの遊び方動画配信から、行政・他企業とノウハウを共有し合うプロジェクトまで、幅広い子育て支援に着手している。

<<日本航空>>
子育ての先輩との座談会「パパカフェ」の実施、イントラネットでの育児関連制度紹介など、男性が育休を所得しやすい環境整備に取り組み、同時に社員全体の働き方改革への意識改革に注力。テレワークやフレックスタイム制など従来からの先進的制度はコロナ禍でのリモートワークへの移行を極めて容易にし、5カ月間夫が在宅で妻は出勤というケースも見られたとのこと。現在はテレワークでの課題を洗い出し、ワーケーションなど一歩先の働き方を見据えているという。

<<プロトソリューション>>
車や不動産の情報サイトを運営する、沖縄県・宮城県が拠点のIT企業。男性育休取得推進のために、そしてずっと働き続けたいと思える企業を目指し、「男性育休当たり前化」を促進。月10日以内・月80時間以内の「半育休」創設など育児経験者の声に応じた制度改正、多様なシフト制を積極的に実施している。難しいといわれるコールセンター部の在宅勤務化も実現に成功。在宅勤務は子育てのみならず、沖縄で多発する台風時にも有効という側面もあり、人材の確保や離職率低下にも好影響を与えることが期待される。