最終的に目指すのは「会社の本来あるべき姿」

―― コカ・コーラ ボトラーズジャパンが実際に行っているダイバーシティ&インクルージョン施策について教えてください。

荷堂 現在、当社は特に「女性の活躍」と、障がいの有無にかかわらず誰もが活躍できる環境づくりを目指す「障がい者の活躍」、「柔軟な働き方の整備」を重点テーマとして取り組んでいます。例えば、新型コロナウイルス対策としてのテレワークの拡充、営業現場での直行直帰の推進、疾病等による治療と仕事の両立を可能にするための各種制度や、女性のためのキャリア支援研修など様々な施策を行っています。

―― コカ・コーラ ボトラーズジャパンおいて、特に力を入れている施策はありますか?

荷堂 無意識のバイアス(アンコンシャスバイアス)のトレーニング(ものの見方や捉え方の無意識的な歪み、偏りを解消するためのトレーニング。ハラスメントやコミュニケーション不全などを防ぐためのもの)を全管理職は必ず受けることになっています。こういった施策は、「今すぐ」の即効性のある変革は難しくても、10年、20年先を見据えて多様な社員が働きやすい、活躍できる場を増やしていくことに寄与するはずで、当社ならではの魅力だと考えています。様々な生き方をしていて、色々な考えを持っている人たちが、その多様なアイディア、行動力を結集しているからこそ会社が成立している、という考え方が根底にあります。

―― トレーニングを受けた社員の皆様からはどのような声が上がっていますか?

荷堂 「トレーニングを通して、多様な社員が働きやすい環境づくりについて考えるきっかけになった」「自分とは異なる立場の社員が抱えている悩みが分かり、視野が広がった」といったポジティブな意見が多いです。一方で、自分の先入観やバイアスにとらわれて戸惑っている社員もいます。ただ、これは変革の道のりにおいては仕方のないこと。継続することで、会社が本来あるべき姿、つまり多様な社員が共に働け、共に活躍できる場にしていくことを目指しています。

―― このような取り組みについて、社外からの評価も高いとお聞きしました。

荷堂 おかげさまで、経済産業省と東京証券取引所が発表する「なでしこ銘柄(※)」において、「準なでしこ銘柄」に2年連続で選定されました。また「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれるなど、嬉しい評価をいただいています。

(※)「女性活躍推進」に優れた上場企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じて、企業への投資を促進し、各社の取組を加速化していくことを狙いとするもの。

―― 社内外からポジティブな声が上がっているのですね。最後にこれからの取り組み、展望についてお聞かせいただけますでしょうか。

荷堂 一人ひとりがチャレンジできる風土をつくり、状況の変化に機敏に対応することで、多様な人材・アイディアを結集して「コカ・コーラの製品だったら飲んでみたい!」と皆さんに思っていただける、魅力的で安心感のある商品づくりをしていきたいと思います。そして、そんな魅力的な商品を提供する会社であり続け、「一緒に働きたい」と思っていただけるような環境をこれからもつくっていきたい、と考えています。

取材・文/源川暢子 写真/山出高士