コカ・コーラ ボトラーズジャパンの執行役員を務める荷堂真紀氏は、5人の子育てをこなしながら国内外の企業4社で活躍した後、現職に就いた。仕事と子育ての両立には苦労したが、「完璧を目指さず、臨機応変に対応する思考」は、自分らしいキャリアアップを実現するうえで大きなプラスになったという。現在、女性活躍推進をはじめとするダイバーシティ&インクルージョン施策に力を入れているコカ・コーラ ボトラーズジャパン。子育てと仕事を両立してきた経験者だからこそわかる、ダイバーシティ&インクルージョン施策が目指すべき真の姿とは、また社員の多様性が会社にもたらすメリットとは何なのだろうか。具体的な取り組みも含めて語ってもらった。

生き生きと仕事をするために、子どもが“試練を与えてくれた”

―― 荷堂さんはコカ・コーラ ボトラーズジャパンで執行役員としてご活躍されていますね。まずは、荷堂さんの現在のお仕事について簡単にお聞かせください。

荷堂真紀さん(以下、敬称略) 現在は、経営戦略室のような部署の統括と、世界中のコカ・コーラ関連会社と調達の連携・調整をする立場にいます。

―― 現在のお仕事に就くまで、国内外4社の企業でご活躍されてきたと伺っています。これまでの経歴についてお伺いできますでしょうか。

荷堂 大学で情報工学を学んでおりましたので、最初の職場の電機メーカーではエンジニアとして勤務していました。その後、海外のキャラクターの版権を扱う仕事に転職をして、2000年からは外資系のIT系企業へ。派遣社員として入社し、その後正社員となって製品開発の購買マネージャーを務めました。さらにその後、米国本社からのオファーを受けて渡米。帰国後は、別の外資系IT企業で勤務していましたが、2014年にご縁があってコカ・コーラ ボトラーズジャパンに役員補佐役として入社しました。

荷堂真紀(かどう・まき)さん
荷堂真紀(かどう・まき)さん
コカ・コーラ ボトラーズジャパン執行役員。大学在学中に結婚。1992年に卒業後、電機メーカーのエンジニア、海外キャラクターの版権を扱う企業、外資系のIT企業勤務などを経て、14年にコカ・コーラ イーストジャパン入社、15年にコカ・コーラ ビジネスソーシング代表取締役社長。17年にコカ・コーラ ボトラーズジャパンの執行役員 調達統括部長に就任。調達本部長、エグゼクティブビジネスマネジメント本部長を経て、2020年1月に同社の執行役員 経営改革本部長に就任。同年4月以降はコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス 執行役員 社長補佐、The Coca-Cola Company Cross Enterprise Procurement Group Operating Committee member、およびBudget Committee CFOを兼務している

―― 華々しいキャリアを積まれていらっしゃるのですね。元々、「こうなりたい」という明確なキャリアプランをお持ちだったのでしょうか?

荷堂 よくそう聞かれるのですが、自分ではまったく意識はしていないのです(笑)。その時々に巡ってきたチャンスや、「やってみたい」と感じることに出会うたびに、ためらわず環境を変えてきた結果が今につながっていると思っています。

―― そういったキャリアアップの間に、5人の子育てをされてきたのですよね。ハードなお仕事との両立は、どのようにされてきたのでしょうか。

荷堂 ひと言でいうと、「子どもが試練を与えてくれた」という感じでしょうか。学生結婚でしたので、新卒の頃から子どもがおりまして、その家庭環境を背景に仕事をこなすことは当たり前になっていました。授乳中に仕事の電話がかかってくる、というようなことは日常茶飯事で、気が動転しそうな時もありました。そんな中で、私がこれまで破綻せずにやってこられたのは、100%を目指さず「何とかなる」という気持ちで腹をくくれたからだと思います。大変な時はパートナーと協力するのはもちろん、シッターに委ねる。確かに金銭的な負担は大きかったですが、私だけでなく家族皆がストレスなく生活することにもつながったと思っています。