ハリがない、毛穴が開く、キメが乱れる、乾燥する……。そんな肌悩みの原因は、細胞で起こっている炎症だとわかってきた。カギを握るのが、肌の感覚センサーと温泉成分としても知られる「アルムK」。メカニズムを知って細胞レベルで美肌になろう!

夜のお疲れ肌は、炎症ダメージのサイン

 朝は調子が良かったのに、夜になるとなぜかお疲れ顔。「仕事疲れのせい?」「メイクが崩れたからかな」と思うことは多いはず。

 「夜、顔が疲れて見えるのは、日中の刺激で肌の中で炎症が起きている証拠」というのは、皮膚の免疫に詳しい大阪大学大学院の齋藤香織特任助教だ。

 紫外線だけでなく、暑さや寒さなどの温度や湿度の変化などの刺激を肌細胞が感じると、炎症が起こる。これは、体に備わった“免疫”という防御システム。刺激を敵とみなして排除するために起こる生体反応だ。ところが、この炎症が肌トラブルの元になるという。

 東京大学医科学研究所の石井健教授によれば、「体に備わった免疫システムは弱くても強くてもダメ。うまく調整できてこそ、正常に機能する」のだが、加齢やストレス、生活習慣などの要因で調整能力が乱れると、正常に機能しなくなる。それは肌の免疫も同様だ。

 「炎症シグナルと呼ばれる炎症性サイトカインを抑えることができなくなり、それが肌の機能を低下させてしまう原因になる」と齋藤特任助教。

 炎症シグナルによって肌のターンオーバーが乱れ、キメの乱れ、乾燥などの肌トラブルを引き起こすだけではなく、コラーゲン分解酵素の分泌を促して、ハリを低下させるともいわれている。夜のお疲れ顔は、炎症による肌ダメージ進行中というサインだったのだ。

感覚センサー「TRP(トリップ)チャネル」って何?

温度や痛みなどの外部からの刺激を脳に伝える、体内の細胞にたくさんある感覚センサー。たとえば、43℃以上のお湯に触ったときは「TRPV1」というセンサーが反応して熱いと感じる。 「TRPM4」は30℃前後の温かさで反応し、肌細胞の炎症反応を調整して、肌を健やかに保つ働きがわかってきた。

※TRP  (Transient Receptor Potential)

感覚センサーが肌の炎症シグナルを抑える

 この夏、感覚センサー「TRPM4(トリップエムフォー)」に、肌の炎症を抑える働きがある、とマンダムが発表した。「TRPM4」とは、私たちが熱い、痛いと感じるときに働く、体中の細胞に備わった「TRP(トリップ)チャネル」という感覚センサーの一つ。TRPチャネルは、さまざまな種類があり、それぞれ特定の温度や刺激に反応する。

 マンダムの研究員としても、長年TRPチャネルの研究を続けてきた齋藤特任助教は、「肌細胞には炎症シグナルを抑える特定の感覚センサーがあり、それを活性化させるスイッチとなる物質があるはず」と考え、石井教授と共同研究を開始。感覚センサーTRPM4が活性化すると炎症シグナルが抑えられることを、日本で初めて見出した。

 TRPM4を活性化させる物質もわかった。「アルムK」だ。実は、美肌の湯で知られる明礬温泉に含まれる天然の鉱物・ミョウバン。昔から野菜のアク抜きなどに使われたり、消臭・制汗作用でも知られている。

感覚センサーを活性化「アルムK」は美肌スイッチ

 100種類以上の成分をスクリーニングして突き止めたというが、「偶然にも、アルムKは三種混合など多くの予防ワクチンに入っている成分。皮膚の免疫反応を調節する作用があることがわかり驚いた」と石井教授は話す。

 マンダムが行った実験では、アルムKを配合したモデル化粧水を13人が朝晩4週間使用したところ、肌の水分量や弾力がアップし、毛穴開きが減少したという。

 機能が衰えた肌の免疫システムを調整する「アルムK」はいわば美肌のスイッチ。夜のお疲れ肌を自覚したら、迷わずスイッチをオンにして、細胞レベルでスキンケア。これこそが健やか美肌を保つ近道だ。

石井健 教授
東京大学医科学研究所 感染・免疫部門ワクチン科学分野
石井健 教授 免疫とワクチンが専門。「ワクチンのアジュバント(補助成分)のアルムKが、TPRチャネルを介して免疫をコントロールできるのは驚き。TPRチャネルを痛みの少ないワクチン技術に応用して、子どもたちのワクチンの痛みを和らげたい」。
齋藤香織 特任助教
マンダム基盤研究所 ライフサイエンス研究室主事、 大阪大学大学院薬学研究科
齋藤香織 特任助教 2000年マンダム入社。生物由来の酵素の化粧品への応用研究等を経て、2007年博士号(材料科学)取得。2013年からTRPチャネル研究の新展開として、皮膚免疫の研究を開始。「女性の肌を美しくしたいという思いで続けた研究成果をぜひ実感してほしい」。

協力/マンダム 0120-37-3337