2019年4月、カリスマ経営者・松本大氏の後任としてマネックス証券の代表取締役社長に就いた清明祐子さん。41歳の大抜擢は大きな話題を呼んだ。意外にも、自身が投資を始めたのは30代半ばから。「20代はダイナミックで前向きな自己投資の時代」という清明さんが、いまARIA世代に投資を勧める理由、その方法、そして気負いのない魅力的なマネジメント術まで語ってくれた。

マネックス証券代表取締役社長 清明祐子さん
マネックス証券代表取締役社長 清明祐子さん
せいめい・ゆうこ●京都大学経済学部卒業後、三和銀行(現在の三菱UFJ銀行)を経て、2006年プライベート・エクイティ・ファンド「MKSパートナーズ」へ。ファンド解散決定後、09年マネックス・ハンブレクトに入社。11年には代表取締役社長に就任。19年にマネックス証券代表取締役社長、20年に持ち株会社であるマネックスグループ株式会社代表執行役COOに就任し、現在に至る

「お金」の投資より、ゴルフなど人付き合いを通じて学んだ20代

――投資に対するイメージは人によって大きく違います。清明さんご自身は、お金とどんな付き合い方をしてきたのでしょう。

清明さん(以下、敬称略) 実際の投資を私が始めたのは30代になってからです。それまではスキルアップのために英会話スクールに通ったり、勤務先の銀行のお客様や同僚と飲みに行ったりゴルフに出かけたりで、貯蓄はマイナス状態でした。20代には大きな出費ばかりでしたが、ゴルフなどで親睦を深めると仕事での関係も深まっていくなと実感していました。

仕事は人とのつながりがないと回っていきません。飲み会やゴルフを通じて楽しい時間を過ごす中で失敗を指摘されたり、人を立てることも学べたり。掛けたお金はその後の自分の生き方、人間関係、そして高収入へもつながる、かけがいのない自己投資でした。実は子どもの頃から「的を射たお金の使い方をすると、それは後で返ってくる」と感じていました。