ツヤと香りがあり、もちもちっとした新米のシーズン到来。炊き立てのごはんがテーブルに並ぶだけでほっと和むのは、お米が日本人の伝統文化そのものだからでしょうか。ARIA世代こそ知っておきたい素早く美味しいごはんを炊くコツ、ごはんが仕事のパフォーマンスを上げる理由などを、五つ星お米マイスター・金子真人さんがレクチャーしてくれます。

五つ星お米マイスターの金子真人さんは83年続く米穀店の3代目。お米関連の知見、炊飯の研究に定評があり講演も多い
五つ星お米マイスターの金子真人さんは83年続く米穀店の3代目。お米関連の知見、炊飯の研究に定評があり講演も多い

日本の稲作の歴史は数千年
主食用米の品種は300超

――金子真人さんは脱サラ後、実家の米穀店を継ぎ、最近では企業や小中学校、米の生産者にも、稲作の歴史やごはんの健康への影響などについて講演しておられるそうですね。

 お米は季節や地域ごとに品種が異なり、地方ごとの炊き込みごはんや寿司もあり、歳時記を彩る食の文化そのものです。日本人は何千年も稲作を続けてきました。定説で稲作は弥生時代からですが、約6000年前の地層から稲のプラントオパール(ガラス質の細胞体)が見つかっているので、お米を愛する僕としては縄文時代後期から本格的な水田稲作が行われていたと信じています(笑)。

 米食は健康的な主食として、ここ数年は欧米でも高く評価され、論文も多く発表されています。残念ながら、日本のほうが米に対して誤解している人が多く、“健康にも活かせる”という視点でも各地でお話ししています。

 品種改良が進み、主食用米だけでも日本には約300種類あるんですよ。炊飯器の進化も目覚ましく、美味しいごはんがより簡単に炊ける時代になり、家庭での炊飯の常識も様変わりしています。

<span class="textColRed">「炊飯方法や栄養についての誤解も多く、もったいないですよね」(金子さん)</span>
「炊飯方法や栄養についての誤解も多く、もったいないですよね」(金子さん)

精米技術の進歩でお米は
“研がない”のが常識に

――仕事で忙しい毎日を送っていると、正直お米を研いで炊くことが億劫になり、朝はパンという家庭も増えています。

 今ではお米は研がずに洗うのが常識だってご存じですか?精米技術が大きく進化したからです。昔の精米は3分づきから7分づき。顕微鏡で見れば粒がでこぼこしていたため、家庭でごしごしと研ぐことで、表面に残る果皮や種皮をそぎ落として精米を完成していたのです。

 今の精米技術では不要部分はほぼ完全に取り除かれ、ぬかの吸引技術も向上している。キレイで繊細な状態で届くので、家では研がずに洗い、軽くすすぐほうがよいのです。

――そうとは知らず、忙しいときは無洗米に頼っていました。

 無洗米を一度ゆすいでから炊く方なら、ほぼ同じ手間で無洗米以外の米の炊飯準備も済みます。ところで、無洗米の加工法にはいくつかあるので一概には言えませんが、米粒の糖層が取り除かれ、いわば裸の状態まで研がれているので乾燥が進みやすい。無洗米は長期保管はせず、すぐ使い切ることがとても大切です。

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