お米の個性も家族の好みも千差万別
――新米の季節です。新米は炊飯時の水の量を控えめにするのがコツですね。
いや、その説は誤解を招いています。お米は、籾(もみ)のなかで乳液状だった実が、光合成によりデンプンが蓄積して粒になります。できたてほやほやの新米には柔らかさが残っていますが、お米の水分含有量は農産物検査法で決められていて、古米も新米もほとんど同じです。
新米の状態は粒の大きさや品種によっても異なり、収穫時期によって硬さにもばらつきが出ます。そのため新米は水を控えて炊けばおいしくなるとは限りません。こればかりは、面倒でも新米ごとに炊いて試すのが一番でしょう。
炊飯器が炊き方を覚えて、
わが家の好みに調整する
――少し手間ですが、新米を楽しむためにはがんばります(笑)。
最近感動したのは、象印の炊飯器『炎舞炊き』の「わが家炊き」という機能です。ひと家族ごとのいろいろな好みの炊き加減を炊飯器が記憶する“炊飯器の進化形”ですよ。前回食べたごはんの硬さや粘りの感想を入力すると、炊飯器自身が炊き方を微調整して家族の好みに合わせてくれるんです。
時節ごとに、品種の状態やブレンドの割合について研究している身に、「わが家炊き」はことさらありがたい。炊飯するたびにどんどん学習してくれるので、いい新米を手に入れたら、少ない量で何回か炊いて最高の炊き方を早くマスターさせようともくろんでいます(笑)。
創業82年の老舗。金子さんが全国の産地を訪ね、品質や食味、環境への取組みなどを基準に厳選した50種類以上の玄米を取り扱う。自社精米室で3段階の精米を行っている。1㎏から購入可能。
埼玉県川越市宮下町1-12-7
TEL:049-222-0143 (代表)
(取材・文/中城邦子 撮影/三木匡宏 構成/太田留奈)