頭脳労働の合間には消化吸収が
緩やかなおにぎりを食べる
――ごはんといえば、おにぎり専門店なども多く見かけるようになりました。おにぎりは日本のソウルフードですね。
仕事でも活躍している皆さんは、午後遅めの時間になると、デスクの引き出しやバッグからひょいとチョコレートを出して食べたり、甘い缶コーヒーでひと息ついたりしますよね。僕も長く会社員だったのでその感覚がよく分かります。
そんな甘いおやつを、おにぎりにスイッチすれば、仕事のパフォーマンスにも健康面にもメリットがあるんです。役職が上がると知的作業の比重が一段と増えるもの。脳の重さは全体重の2%ほどしかないのですが、人が摂取する全糖質の約20%が脳のエネルギーとなります。忙しいとつい甘いものに手が伸びますよね。
かつて「御八つ(おやつ)」は、八つ刻(午後2~4時頃)、農作業の合間などに小腹がすいたら食べる軽食のことでした。それが高度成長期の頃、テレビでも「3時のおやつは~」と流れ、午後に甘いお菓子を食べる習慣へと変化してしまいました。
――そんなエネルギーチャージをおにぎりで、という考えですね。今年引退したイチロー選手も確かに「試合前にはいつも妻が握ったおにぎりを食べた」と語っていました。
とても理にかなっています。競技パフォーマンスの向上に糖質補給を適宜行う必要性はこれまでにも多く指摘されています。また、スウェーデンのある実験では、高タンパク・高脂肪食に比べ、おにぎりのような炭水化物100%の高糖食は運動持続力が2.5~4倍でした。
砂糖を過剰に含む缶ジュースやスイーツとの比較でももちろん、炭水化物のパンやイモ類と比較したときにも、ごはんは粒食のためゆっくりと消化・吸収され、腹持ちがよく、血糖値の上がり方がなだらかです。食物繊維も一緒にとれて腸にやさしく、自家製おにぎりなら、親にも子にも安心な添加物なしの完全自然食品です。
――確かにお菓子をおにぎりに変えるとメリットが多いですね。
日本人1人当たりの米の年間消費量は1962年度の118.3kgをピークに減少しつづけ、2018年には半分以下の53.8㎏まで減っています。それに反比例するかのように肥満は増えているので、肥満とごはんの関係には誤解が多いと思っています。
オフィス用おにぎりに、
金子さんが雑穀米を勧める理由
――短時間で洗米できることも分かりましたので、朝、炊き立てのごはんでおにぎりをつくる習慣が実行できそうです。
そう、おにぎりはぜひ熱々のごはんで握ってください。熱々であれば強く握らなくても米粒が適度にくっつきあってまとまりやすいので、ふんわりとしたおにぎりに仕上がり、時間がたってもしっとり美味しいおにぎりになります。熱々のままラップに包んでください。涼しい季節でしたら常温でおやつタイムまで保管できます。
おとなの女性へのお勧めは雑穀米おにぎり。栄養価が高く、手塩だけの具なしで簡単です。海苔のおにぎりだと、重要なプレゼンで歯に海苔が残るのも気になるでしょう(笑)。白米2合に対して雑穀米30gが、もちっとした食感もでき上がりの見た目の点でもバランスがいいですよ。
急速炊きには、「+5分」の愛を