ソーシャルクレジットが絵の価格を引き上げた

 さらに、「今、企業に求められるのはサステナブル・キャピタリズム尊重の姿勢ではないか」と長坂は言う。「文化、経済、環境の3つをバランスよく回せばソーシャルクレジット(社会的信用)が生まれ、企業のソーシャルクレジットが高ければ、それがソーシャルインパクト(社会的影響)を醸成するからだ

 長坂自身の収入は作品の売り上げの5%と決め、大半はアグボグブロシーの環境、労働問題を解決するための事業に投資している。「この数字を生涯変えることはない。その信念がソーシャルクレジットを生み出し、そしてそのソーシャルクレジットは僕の絵の価格を引き上げた」。長坂の作品だけを扱う専用ギャラリーは国内外で11店舗にまで増えた。香港、ニューヨーク、パリにも開設し、今後も増えていく見込みだ。

 「僕はガーナに生かされている。何年かけても、ガーナの国旗の中心にある黒い星・ブラックスターを輝かせたい。そのために絵を描き続け、いずれピカソを超える。公言した以上、必ず遂行する。そして、ガーナにエシカルなスマートシティを完成させる。現在のガーナでの事業計画は3本。農園、リサイクル工場、そしてEVバイク(電動二輪車)メーカー。この3本柱が軌道に乗り、ブランド化ができたら、スラム街の人たちにスマートシティーへの移住を呼びかけるつもりだ。サステナブル・キャピタリズムの概念が古びたものになるまで、僕は地球というキャンバスにサステナブルな絵を描き続ける」

■No.1ホスト、起業後に倒産 、「せどり」で稼ぐ波瀾万丈な人生
■ガーナのゴミを10億円に変えるカラクリ ーー 長坂流「相対性理論」
■「行動し続けること」で導き出した、持続可能な資本主義論
■スマートシティを作るために考えたSPAC(特別買収目的会社)でのロンドン市場への上場

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発行:日経BP 定価:1870円(税込み)

構成/日経xwoman編集部 写真提供/MAGO CREATION