歌舞伎町のNo.1ホスト⇒アパレルで起業、倒産⇒路上画家に⇒ガーナの“電子機器の墓場”で「資本主義の闇」を目の当たりにする――ここから美術家・長坂真護さんの快進撃が始まります。スラム街初の私設学校、美術館、そしてリサイクル工場をつくり、実体験から導き出した「持続可能な資本主義」とは? 上野の森美術館で展覧会が開催(11月6日まで)されるなど注目を集める長坂さんの新刊『サステナブル・キャピタリズム 資本主義の「先」を見る』からご紹介します。

『サステナブル・キャピタリズム 資本主義の「先」を見る』(長坂真護著、吉井妙子構成、日経BP)。2022年9月20日発売
『サステナブル・キャピタリズム 資本主義の「先」を見る』(長坂真護著、吉井妙子構成、日経BP)。2022年9月20日発売

年間8億円を売り上げる画家になれたのは…

 「ほんの数年前まで、僕はスマートフォンやタブレットなどのガジェットを転売する“せどり”で生計を立てる年収100万円の路上画家だった。それが一転、2021年にはアート作品が年間約8億円を売り上げた。世界が一変した理由はただ一つ。サステナブル・キャピタリズム(持続可能な資本主義)という概念を考え、それに沿った行動をしたからだ」

 17年、美術家・長坂真護は、世界最大の電子廃棄物処理場であり「電子廃棄物の墓場」といわれるガーナのアグボグブロシーを訪れた。先進国から毎年25万トンもの電子ゴミが持ち込まれ、たまった量は東京ドーム32個分。その地域で暮らす住民は、電子ゴミを燃やして残った金属を売り、1日12時間働いて500円の賃金で暮らしていた。長坂はこう振り返る。

ゴミやくずを集めて生活するハードワーカーたちと長坂(写真中央)。最初にアグボグブロシーを訪問したときは「マネー」「マネー」と近寄ってきた彼らも、今では長坂の家族のような存在
ゴミやくずを集めて生活するハードワーカーたちと長坂(写真中央)。最初にアグボグブロシーを訪問したときは「マネー」「マネー」と近寄ってきた彼らも、今では長坂の家族のような存在

 「そこで目にしたのは、資本主義のつくり出した闇の世界。僕がせどりで稼ぐ道具にしていた電子機器が、その後アグボグブロシーに不法投棄され、燃やされることで発生する有毒ガスなどによって、現地の人々の命を縮めているのかと思うと自分を恨みたくなった。この現実に目を背けてはならない。だが、一介の絵描きにすぎない自分に何ができるのか――」

 そして、こうひらめいた。

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2022年9月10日~11月6日まで上野の森美術館で「長坂真護展 Still A “BLACK” STAR」を開催。アグボグブロシーに集積した廃棄物を、自身のアート作品へと昇華させた作品が多数展示されている。写真左の作品は、自著の表紙にも使われた作品『サステナブル・キャピタリズム』
2022年9月10日~11月6日まで上野の森美術館で「長坂真護展 Still A “BLACK” STAR」を開催。アグボグブロシーに集積した廃棄物を、自身のアート作品へと昇華させた作品が多数展示されている。写真左の作品は、自著の表紙にも使われた作品『サステナブル・キャピタリズム』