ごはんやパンなどの糖質を少なくして揚げ物をやめて。食事に気をつけてるのにかえって体重か増えてしまった……としたら、その食習慣にこそ問題が潜んでいるかもしれません。

脂質過多で、栄養不足?

 「多くの女性が糖質や脂質を“減らす”ことに気をとられて栄養バランスを崩している可能性がある」というのは、日本獣医生命科学大学の佐藤秀美客員教授だ。

 実際に、「国民健康・栄養調査(厚生労働省)」では、ここ数年、女性の脂質摂取量が右肩上がりに増えていること、1日3回の食事をとっていない人が多いことを報告している。「欠食したり、極端な糖質制限などで肉類や脂肪の摂取が増えているのではないか」と指摘する。

 糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素は生きるためにどれも必要不可欠。糖質や脂質が不足すれば、たんぱく質がエネルギーとして消費され、脂質が不足すれば脂溶性ビタミンの吸収率が下がるなど、どれかを減らそうとするとひずみが生じやすくなる。ビタミン・ミネラルは糖質や脂質、たんぱく質の分解や合成にも欠かせないが、「特に30~40代の女性は野菜不足が際立っており、ビタミン・ミネラルが大きく不足している」という。

 カロリーを気にして一品にしたら野菜が皆無だったり、大盛りの生野菜サラダだけにしたのに体にいい油をかけ過ぎればカロリーオーバーに。体に良かれと思う食習慣が偏りを招いてるケースもあるという。

 「基本は主食+一汁三菜。野菜は加熱して量をとる、3食しっかり食べることを意識して。食事の最初に野菜や海藻を食べて血糖値が上がるのを抑えたり、食前に砂糖入りホットミルクを一杯飲んで満腹感を得ることも一策です」(佐藤客員教授)。

 まずは、この機会に3食の食事を見直してみて。正しく食べて、そのうえで糖と脂肪をバランス良く抑える工夫をしよう。

佐藤秀美 客員教授
日本獣医生命科学大学、学術博士(食物学)・栄養士
佐藤秀美 客員教授 お茶の水女子大学大学院修了。栄養・健康・料理についてエビデンスに基づきわかりやすく生活者に伝えている。『栄養「こつ」の科学』(柴田書店)、『おいしい料理が科学でわかる―日本型健康食のすすめ』(講談社)等、著書多数