ホルモンバランスの変化により、更年期症状など、今までに感じたことのなかった心身の不調が現れ出す、40~50代のARIA世代。でも、仕事も家事も子育て・介護もすべて抱えて、ゆっくり体を休める時間もないという方が多いのも事実。そんな中、ARIA世代の女性たちはどのように健康管理をしていけばいいのだろうか? 講演や研修を通じて、「心とからだと働き方を含めた生き方を整える」ことを提唱している、(株)ウェルネスライフサポート研究所 代表取締役の加倉井さおりさんに伺った。

ARIA世代は体が資本! 自分メンテナンスデーを作るべし

 仕事では責任ある立場となり、家庭では家事や子育て・介護なども担うARIA世代。自分の体が資本だということを日々実感しているはず。でも、忙しいがゆえに、どうしても自分の心身のメンテナンスはおろそかになりがち……。

 「今回、働く母1000人の実態調査を行ったところ、心身の不調で悩んだことのある方は約8割を超えるという結果になりました。働く母は心身の不調を抱えながらも、休めない状況であるということが分かりました」と語るのは、講演や研修などで多くのワーキングウーマンと触れ合う機会のある加倉井さおりさんだ。

加倉井さおりさん
株式会社ウェルネスライフサポート研究所 代表取締役/保健師・心理相談員
「心とからだと働き方を含めた生き方を整える」ウェルネスライフを提唱し、女性の健康、メンタルヘルス、キャリアビジョンなどをテーマにした講演や研修を実施。講演や研修は、「笑顔になる、元気になる、幸せになる」と評判で、リピート率95%、講演実績は2000回にも上る。著書に『仕事も育児も! ハッピーママ入門』(かんき出版)ほか。プライベートでは大学3年、高校2年、中学1年の男の子3人のママとしても日々奮闘中。

 さらに、40~50代の女性はホルモンバランスが著しく変化する年代。卵巣の働きと女性ホルモンの分泌は、30代後半から低下し始め、40代になると急激に下降し閉経に向かっていくため、いわゆるホットフラッシュなどの更年期症状が現れ始める。個人差はあるが、だるさや眠気、ほてりなどの不快な症状に悩まされる女性も多いのだ。

 「でも、ARIA世代の女性は、今後も仕事を続けて、趣味に、旅行に、人生をアクティブに楽しみたいと考えられていますよね。そのためにも、自分の体のメンテナンスがとても重要になってきます」

 そこで加倉井さんが提唱するのが、「ウェルネスライフ=心とからだと生き方を整えて、自分らしくよりイキイキと人生を楽しめること」というキーワード。

 毎日の生活の中で、ウェルネスライフをかなえるためには? アイデアを紹介してもらった。

月に1日、自分感謝デーを作る

 更年期に差しかかってくると、自律神経のバランスを崩しがち。「緊張しているときや気が張り詰めた状態、つまり仕事をしているときに優位になる交感神経ですが、帰宅後もリラックスできず交感神経が優位になりがちな女性がご相談を受ける方の中で多いように感じます。確かにスマホやパソコンでどこでも仕事ができてしまいますから、帰宅後も常に追われているような感覚があり、気の休まる時間がない生活をされている方に体調を崩される方が多いです」。

 その結果、リラックスしているときに優位になる副交感神経が働かない状態に。睡眠にも支障をきたし、体が悲鳴を上げてしまうのだ。そうならないためにも、加倉井さんがおすすめするのは1日1回、自分の心と体を「ゆるめる」こと。

 「深呼吸する、お風呂にゆっくり浸かる、リラックスできる音楽を聴く、ヨガのポーズを取るなど、人それぞれの好みでいいと思います。ちなみに私は帰宅後、バランスボールでピョンピョンはねることで、心と体をゆるめています(笑)」

 もし毎日ゆるめることが難しいなら、1カ月に1日、頑張ってきた自分の心と体に感謝する「自分感謝デー」を作ってみては。

 「私はワーキングウーマン向けの研修や講演などで、あらかじめスケジュール帳に、この日は絶対に休む、予定を入れないという日を作ることを提案しています。日帰り温泉やスーパー銭湯に行ったり、ちょっと高級なホテルでお茶を飲んだり……。『贅沢かしら?』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、40~50代の頑張ってきた女性の方々には、せめてそういう時間を作りましょうよとお伝えしていますね。自分の体の声も聴いて、自分を慈しんであげる時間は、特に日々を忙しく過ごすARIA世代の女性には必須です。心も体も健やかだからこそ、元気に働き続けられますからね。ちなみに私は人前で話す仕事なので、緊張感や疲れが背中に溜まるんです。なので、月に1回はトリートメントを受けています」

 「そして、さらに自分の健康を確認するうえでも、年に1度は婦人科の健診を受けることも大切。また、ARIA世代の女性は、かかりつけの婦人科医を持っていると、ささいなことでも相談できて安心です。社内にいる保健師や看護師にも、ぜひ気軽に相談してほしいです」と加倉井さんは話す。

やるべきことより睡眠時間を優先

 睡眠に関しては、6~7時間睡眠する人のほうが健康寿命が長いという説もあるが、中には5時間でも元気でいられるという人もいるはず。

 「最適な睡眠時間は人それぞれなので、自分にとっての快適な睡眠時間が自分で分かっていることも大切です。そういう意味では、毎日の体調と睡眠時間を意識してみていただきたいですね。日々を元気に過ごせる自分にとって最適な睡眠時間が分かったら、まずは何時に寝て何時に起きるかを決めてほしい。残りの時間の中で家事や自分時間を配分するという時間術を提唱しています」

 やるべきことを優先して、残った時間で睡眠を取る生活になってしまうと、いつの間にか睡眠が削られて体調不良に、なんてことにもなりかねない。

 「また睡眠時間も大切ですが、より深い眠りを得るためにも、昼以降はコーヒーなどカフェインの入った飲み物を控えること、寝る直前のスマホ使用を控えることも心がけたいですね」

 さらに加倉井さんは、ARIA世代の女性に食生活を整えることの重要さも指摘。次ページからは、様々な方法を提唱していく。