「私がIBMに入社したのは、男女雇用機会均等法が施行された翌年。1600人くらいの同期の中で、11人だけ女性営業がいたんですけど、何年かしたら私だけになっていて。ただ、今まで難攻不落と言われたお客様から100億のビジネスをいただいて、それがキャリアのスイッチだったかもしれません。お客様を愛した結果が数字になる。勝つのは“基本給”なんですけど、組織のリーダーになったら勝ち続けなきゃいけないんです」(山中さん)

 「2006年に投資ファンドの会社に入社したんですけど、リーマンショックが起きて、次に何をしよう? っていう時に、起業だなと。そこから1年間、会社に勤めながら準備しました。私が会社を起ち上げたことで、エシカル・ジュエリーとか、業界自体が回っていくかもしれない、触媒になりたいと思ったんです」(白木さん)

「私と一緒に仕事をすれば、必ず目標を達成できる」という実績を出す

 また、キャリアを重ねた多くの女性が考えるマネジメントについても、興味深い答えが返ってきました。

 「5、6年目くらいから『夏子さんらしい経営スタイルでやったら?』って言われて、積極的に感情を出して怒ったり泣いたりするようにしてみたんです。そうしたら楽しくなってきました」(白木さん)

 「去年からチームを作るために100人くらい面接して、半分以上は私より年上や男性なんです。ただ、外資系は数字を残すことが一番で、そこに男性と女性の違いは無いのでやりにくいと感じたことはないです。気をつけていることは、年上の方に敬意を払うことです。あとは、自分にしかない“強み”を持つことですね。私の場合は、外国人の上司と折衝できるスキルが強みになっています」(中尾さん)

 「BtoBの事業が好きなんですよ。私と一緒に仕事をすれば、必ず目標を達成できるっていう実績を出していくことが……女性でも男性でも同じだと思うんですけど、秘訣なのかな。ただ、男性にありがちな嫌なところは真似しないようにしています。『あいつは俺が偉くした』とか、言いたくないですね(笑)」(山中さん)

 いかがでしょうか。これらの言葉には、すべての働く女性のヒントが詰まっていると思います。

パナソニック コネクティッドソリューションズ社常務 兼 現場プロセス本部副本部長、ダイバーシティ推進担当、パナソニック システムソリューションンズ ジャパン取締役 執行役員副社長の山中雅恵さん
パナソニック コネクティッドソリューションズ社常務 兼 現場プロセス本部副本部長、ダイバーシティ推進担当、パナソニック システムソリューションンズ ジャパン取締役 執行役員副社長の山中雅恵さん
1987年慶応義塾大学卒業、同年日本IBM入社。女性初の大手法人営業を担当後、IBM Asia Pacific社長補佐、IBM General Business製造業担当営業部長などに従事。その後、マイクロソフトで流通サービス統括本部長、LIXILで特需開発事業部長を歴任。2017年7月パナソニックに入社。パナソニックのBtoBビジネスの柱となる「現場プロセスイノベーション」の推進を担い、“日本発”のブランドで世界に役立つソリューションを生み出したいという想いで事業に邁進している

取材・文/高橋美穂 写真/鈴木愛子