時間と経験を積み重ねて輝いている2人が受賞

 コロナ禍の間も途絶えることなく続いてきたこの賞は今回で8回目を迎え、年を追うごとに注目が集まっている。第8回目の受賞者として栄冠を手にするのは誰なのか、期待が高まるなか、受賞者の名前が発表された。

 ビジネス部門を受賞したのは弁護士の菊間千乃さん。1995年にフジテレビに入社後、アナウンサーとしてバラエティー番組や情報・スポーツ番組などで活躍し、フジテレビ在籍中に大宮法科大学院大学に入学。司法試験に注力するためフジテレビを退社し、2010年に見事、司法試験に合格した。2011年に松尾綜合法律事務所に入所し、今年から同事務所の代表パートナーに就任した。また、複数の企業の社外取締役や、日本女子ソフトボールリーグ機構の理事や情報番組のコメンテーターを務めるなど、多彩かつ多方面で活躍している。

 スペシャリスト部門は女優の内田有紀さんが受賞。1992年にフジテレビ系『その時、ハートは盗まれた』で女優デビューした内田さんは、1994年には歌手デビューも果たした。その後、『踊る大捜査線』シリーズ、テレビ朝日系『ドクターX~外科医・大門未知子~』シリーズ、WOWOW『連続ドラマW 華麗なる一族』などで存在感ある演技を披露してきた。今年2022年には女優デビュー30周年を迎え、今期ドラマでは木村拓哉さん主演の『未来への10カウント』に出演。これまでの内田さんのイメージとは異なる、高校の校長先生という役柄に挑戦するなど、ますます演技の幅を広げている。

 菊間さんは「今年でちょうどアナウンサーを辞めて15年。弁護士になって、このような華やかな場所で素晴らしい賞をいただけるとは夢にも思わなかったので驚いている。20代はフジテレビアナウンサーとしてキラキラ輝く楽しい日々を過ごし、30代は将来に向けた投資ということで勉強に集中し、そこから10年はそれまでに培った知識と経験で依頼者のために走り回った。50歳になって次の10年はどうしようかと思っていた節目でこのような素晴らしい賞をいただけて光栄。この賞はこれからもっと頑張りなさいというエールだと思って依頼者や全ての人から信頼される弁護士になれるよう努力していきたい」と力強く語った。

 内田さんが「デビューして30周年を迎えました。10代、20代はプロ意識に辿り着く時間もなく仕事に追われていたと思います。30代に壁に当たった仕事がきっかけで仕事への意欲が芽生え、楽しいと言い難い日々を重ねながら、がむしゃらに過ごしてきました。そんな自分に、こんな素敵な賞をいただけて感謝の気持ちでいっぱい。自分らしく生きることはなかなか難しいけれど、これからもトライ&エラーを繰り返し、自分に自信をもてるように努力していきたい。この受賞でもっと輝けるように自分らしくありたいと思う」と笑顔で語ると、会場からは大きな拍手が沸き起こった。

 審査員を務めた松永真理さんは「菊間千乃さんはアナウンサーから転身し複数の社外取締役やコメンテーターなど幅広い活躍で、8チャンネルの顔から八面六臂の活躍へと“8つながり”。今年の法律事務所の代表パートナー就任も高く評価された。菊間さんが書いている日経xwomanの『響くことば、刺さるコトバ』という連載を読むと、自分の身に起こったことを人のせいにも会社のせいにもしない潔さが今につながっていることが分かる。キャリアを考える最高の教科書だと感じた。今年デビュー30周年を迎えた内田有紀さんは、昨年、雑誌の表紙での18歳のご自身との共演が『奇跡の46歳』と話題になったことが記憶に新しい。麻酔科医、校長、ドラマ『津田梅子』では明治の母、『華麗なる一族』では昭和の悪女と、幅広い役柄を演じている。その幅がどこから生まれるのかと思ったら、『35歳のときに演技のコーチをつけて作品ごとに内田有紀を更新している』と知り、奇跡が生まれる理由も分かった。2人は弁護士と女優と立ち位置は違うが、地道な努力を重ねていてすがすがしく、地道さがカッコイイと思えるのが素敵。華やかなキャリアに見えるが、覚悟という体幹がしっかりしていて歪みがなく、素晴らしいモデルを示してくれた」と受賞者をたたえた。

授賞式後に行われたトークショーでは、仕事を続ける上で大切にしてきたこと、新しいことに挑戦するときのモチベーション、仕事とプライベートの切り替えや時間の使い方などがテーマに
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取材・文/加納美紀