男性こそ、テレワークを活用すべき

 「社内の人とのコミュニケーションに支障はないか」というクリス氏の質問に対し、及川氏は、「互いの働いている様子が分かるテレビ会議やウエブ会議の画面を常時接続することで、働く空間を共有する環境づくり、つまり『空間共有』が実現します。複数の人数が参加する会議や打ち合わせはもちろん、雑談のような朝会もしていますし、報告や相談をしたいときに、『今、ちょっといいですか?』と相手の都合のいい時に気軽に声もかけられる。『V-CUBE Gate』という社内のビジネスチャットもすぐにつながるので、コミュニケーションには支障を感じません」と説明。テレワークに対する否定的な意見は全くないという。

自宅でウエブ会議の画面を常時接続し、働く空間を共有している
自宅でウエブ会議の画面を常時接続し、働く空間を共有している

 テレワークが社内でうまく運用できているポイントについては、「トップが自ら実践し、誰でも利用しやすい風土が根付いてきたから」と山田氏が解説した。実際、同社の間下直晃社長はシンガポールからテレビ会議で取材に応じたり、経営会議に参加したりしているという。

 また、交通費精算や稟議申請、勤怠皆無など業務で使うシステムは全てクラウドサービスであるため、オフィスにいなくてもクラウド上でやり取りできる体制であることもテレワークが根付いた一因だという。

 このようなワークスタイルが会社に根付くメリットについて、及川氏は、「例えば、子育て中の人にとっては、『小1の壁』をどう乗り切るかという問題があります。こうしたテレワーク制度が当たり前のように社内に浸透すれば、そうした問題を乗り越えられ、女性の働き方も変わってくるでしょう。親の介護問題にも役立つ。男性が積極的に利用することで、女性も利用しやすくなるはずです」。山田氏は「価値観やライフスタイルは人によってさまざま。だからこそこのテレワークも働き方の選択肢の一つとして、もっと世の中に浸透して欲しいと思います」と、働き方の進化の必要性を語った。

 クリス氏がナビゲーターを務めるテーマセッションではこの後「美容と健康」「女性のキャリア」の事例を紹介。詰めかけた来場者は最後まで熱心に話に聞き入っていた。

文/高島三幸 写真/BURONICA 吉岡教雄

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