N響が奏でる夏の夜を彩る名曲への誘い

<b>井上道義(いのうえ・みちよし)さん</b><br>1946年東京生まれ。桐朋学園大学で齋藤秀雄氏に師事。1971年にグィド・カンテルリ指揮者コンクールに優勝し、国際的な活動をスタート。ニュージーランド国立交響楽団首席客演指揮者、新日本フィルハーモニー交響楽団音楽監督、京都市交響楽団音楽監督兼常任指揮者、大阪フィルハーモニー交響楽団首席指揮者、オーケストラ・アンサンブル金沢音楽監督を歴任
井上道義(いのうえ・みちよし)さん
1946年東京生まれ。桐朋学園大学で齋藤秀雄氏に師事。1971年にグィド・カンテルリ指揮者コンクールに優勝し、国際的な活動をスタート。ニュージーランド国立交響楽団首席客演指揮者、新日本フィルハーモニー交響楽団音楽監督、京都市交響楽団音楽監督兼常任指揮者、大阪フィルハーモニー交響楽団首席指揮者、オーケストラ・アンサンブル金沢音楽監督を歴任

三井田 弊社は今年で122年目の会社で、2年前の120周年記念行事として、お客さまにクラシックを楽しんでいただきたいとN響コンサートの協賛を始めました。それが非常に好評で、それなら続けようとなった時に、120年前に作られた曲を演奏してほしいとお願いしました。その当時、作曲家がどういう気持ちで書いたのかなと想いを馳せながら時代を遡ることができるのもクラシックの魅力だと想います。

井上 演奏が始まる前に会場がシーンと静まりかえる瞬間があり、それが緊張してしまうという人もいるかもしれませんが、それは、その曲が作られた時代へとワープするためにマジックをかける時間。私はそう考えています。

三井田 なるほど。たしかにそうですね。7月に井上さんが指揮をされるコンサートの演目の3曲もそれぞれの特徴がありますね。

井上 今回は全部ラテン系の曲で、フランスの作曲家の曲は絵画のような色彩豊かな印象を感じていただけると思います。1曲目の『狂詩曲「スペイン」』は陽気なお祭りのような曲。2曲目の『アランフェス協奏曲』は昔の寂しさや絶望などを回顧する、さまざまな人生経験を乗り越えてきた大人だからこそわかるような曲です。クラシックは縦の線と横の線がぶつかりあって作られる建築物のような一面もあるのですが、3曲目の『幻想交響曲』はそれを一番感じていただける曲ではないかと思います。

三井田 『幻想交響曲』は男性が女性に恋い焦がれる様が込められて艶っぽさがある、大人の女性にはぜひ聞いてもらいたい曲ですね。そして、それが井上さんの指揮でどんな演奏になるのか、私もとても楽しみです。

井上 3曲とも私がすごく得意な曲ですので、ぜひ会場に足を運んでいただけたらうれしいです。私の両親は土曜日には必ず2人で映画を観に行っていました。パートナーと新鮮な緊張感を楽しみながら時間を過ごすのにも、クラシックのコンサートはおすすめです。人生にはそんな時間が大事なのだと思います。

取材・文/中澤小百合 写真/小林大介

生のオーケストラだからこそ楽しめる、贅沢な音楽の夜会を体感しよう
明電舎presents『N響 名曲コンサート2019 Summer Night Fantasy』
2019年7月2日(火)19:00開演
サントリーホール


●料金(税込)
一般
SS 8500円/S 6500円/A 5000円/B 3500円/C 2500円
ユースチケット(25歳以下)
SS 6000円/S 5000円/A 3500円/B 2500円/C 1500円

●出演
指揮 井上道義
ギター 大萩康司
管弦楽 NHK交響楽団

●プログラム
シャブリエ 狂詩曲「スペイン」
ロドリーゴ アランフェス協奏曲
ベルリオーズ 幻想交響曲 作品14

シャブリエの狂詩曲「スペイン」は旅の印象をもとに書かれた作品。スペインの燦々と降り注ぐ陽の光と、陽気な人々のさまが目に浮かぶような名曲。ロドリーゴの代表作であるアランフェス協奏曲は内戦で破壊された古都に想いを寄せて書かれた曲で、豊かなギターソロによって様々な景色が描き出される。第2楽章で流れるおなじみの名旋律には一抹の寂しさを感じるだろう。そして後半は、作曲家自身の失恋体験に基づく大曲として知られるベルリオーズの幻想交響曲。この作品では、ある男が女を恋い焦がれて見る夢の世界が文字通り「幻想」的に描かれる。理想の彼女を見出した舞踏会(*)、彼女を殺めて断頭台に連行されるさま、そして彼の葬儀で魔女や魑魅魍魎が開く宴が描かれる。そんなおどろおどろしいストーリーの中、ベルリオーズが書いたメロディは時に美しく、時に壮大なスケールを感じさせる。

主催:NHK交響楽団
特別協賛:株式会社 明電舎

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