ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まって2カ月、多くのウクライナ人が国外に避難することを余儀なくされている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の発表では、難民の数は2022年4月19日現在で500万人を超えたとされる。18~60歳までの男性の出国は認められていないので、避難民は女性と子どもと高齢者のみ。避難先の周辺国で不安な日々を過ごしている。ポーランド、オーストリア、デンマークから、避難民を取り巻く状況について伝えてもらった。

(上)ウクライナ難民8割が女性 受け入れ国でのトラブル急増 ←今回はココ
(下)「ウクライナ難民は優遇されてる」他国難民の複雑な思い

 オーストリアに来たウクライナ難民は、 2022年4月14日現在で約5万8000人、そのうち83%が女性で18歳以下の子どもも多い。1日に到着する難民の数は、多い時は3500人ほどだが、ここ最近は1日900人ほどに留まる。しかしこの先さらに多くの難民が到着することが予想されている。

 難民の多くが到着するウィーン市内にある中央駅には、必要な物資や食べ物を提供する場所と、到着後の案内をするインフォメーションが設置されている。また駅構内のオーストリア国鉄のラウンジでも休憩・宿泊できるようになっている。

ウィーン市内の中央駅には、連日多くの難民が到着する。駅構内には必要な物資を提供する場所や、宿泊できる場所もある
ウィーン市内の中央駅には、連日多くの難民が到着する。駅構内には必要な物資を提供する場所や、宿泊できる場所もある
ウィーン市内の中央駅には、連日多くの難民が到着する。駅構内には必要な物資を提供する場所や、宿泊できる場所もある

ウクライナ難民向けの支援物資目当てにホームレスが

 ところがこの数週間で少し様子が変わってきた。提供されている食べ物や物資を目当てにホームレスやロマ族の人たちなどが集まってきたのだ。

 中央駅に物資を提供しに行った女性は、「小さな子どもが近づいてきて金銭をねだるようなしぐさをされた。親は見当たらずお金を渡すのをちゅうちょしてウクライナ人の通訳の所に連れて行ったら、ウクライナ語を理解せず逃げて行った。とても複雑な気分だし、注意が必要だ」と話す。中央駅では当初、ウクライナ人であることを確認せず物資や食事を提供していたが、今では縮小され、誰でも自由に物資を取っていくことはできなくなっている。