田代 バブルの駆け上がり期で、海外相手のセクションだったこともあって、男女関係なく忙しく働かせてもらえる環境でした。オフィスは不夜城状態で、夢中で働くのがとても楽しかったんです。3年働いた後、社内留学制度で経営学を学びに行きました。

白河 スタンフォード大学ですね。留学経験はご自身のキャリアにとってプラスでしたか。

田代 非常に大きな転機になりました。一緒に働く人をいかにやる気にさせるか、マネジメントについて体系的に学べたことは、経営視点で仕事をする上で役立ちましたし、素晴らしい人的資産も得ましたね。MBA時代の同級生300人のうち3〜4割は女性でしたが、今でも交流が続いていて。うち30人ほどとは、毎年1回、海辺で宿泊しておしゃべりする「女子会」を楽しんでいるんです。既に会社員生活はリタイアして、起業している女性が多いですね。

白河 かけがえのない仲間との出会いがあったんですね。マネジメントを学んだことが役立ったとのことですが、田代さんが部下を指導する上で大切にされてきたこととは?

企業が「本気」で成長を求めれば、女性の昇進は当然

田代 相性も含めていろいろな部下と一緒に働いてきましたが、最初からダメだとは絶対に諦めず、必ず「いいところ探し」をすること。どんな部下にも魅力はあるし、それを見つけたら「あなたのこういうところがチームの役に立っている」と伝えます。それだけで顔つきが変わって、自信を持って仕事に向き合えるようになりますから。

白河 個人の長所をチームへの貢献と結びつけるのがポイントですね。

田代 そして、もう一つ、大切にしてきたのは、とにかく「部下を信頼して任せる」ということです。部下一人ひとりの行動を細かく管理して報告をたくさんさせるようなコントロール型のマネジメントができるのは、せいぜい3人くらいの規模。5人以上のチームをマネジメントするとなると、個の力をいかに引き出すかにエネルギーを費やさないと、失敗すると思います。

白河 管理型から人中心の多様性マネジメントへの移行は、世の中全体の流れと思います。そのスタイルがいいと思うに至った経験があるのでしょうか?

田代 上司や周りの管理職を観察しながら学んだことです。特定の一人ではなく、「この人のこの部分を学ぼう」とたくさんの方々から吸収してきました。

「探しても探してもいいところが見つからない部下は、本当にいませんでしたか?」と編集部が聞くと、田代さんは「いません」と即答でした