日本人の2人に1人が生涯でがんに罹患するといわれる時代。あなたは、定期的ながん検診を受けていますか? 罹患者数が増えている乳がん、前立腺がんは早期発見で寛解の可能性が高いといわれています。そのために重要なのが検診。自分はもちろん、家族のことも考えた検診の知識を身につけておくことが大切です。

人ごとではないARIA世代のがん罹患率

 これからの自分の人生を楽しもうとしているARIA世代にとって興味深いデータがある。国立がん研究センターが発表したデータによると、40歳以降に罹患率の増えるがんは日本人の死亡原因のトップでもあり、いまや生涯で2人に1人がなるといわれている病気。ARIA世代にとって無視できない問題だ。

●部位別がん罹患率<全年齢>2014年(人口10万人対)
●部位別がん罹患率<全年齢>2014年(人口10万人対)
出典:「国立がん研究センターがん情報サービス」 国立がん研究センター がん対策情報センター「がん登録・統計」

 その中でも特に注目したい2つのがんが、乳がんと前立腺がん。1996年以降、乳がんは女性のがん罹患率において1位であり続けており、2011年には罹患数約8万1千人(推定)を記録した。欧米では乳がんによる死亡率は年々低下しているが、日本では上昇傾向にある。また、2025年には前立腺がん罹患数は12万人近くに増え、男性がんの中で1位になると予想されている。自分の健康はもちろん、パートナーの健康に関しても、将来を見据えて考えるべきタイミングだといえる。

早期発見が重要な乳がん、前立腺がん

 乳がんは乳房のなかの母乳をつくるところ(小葉組織)や母乳を乳首まで運ぶ管(乳管組織)から発生するがん。30代後半から罹患者が急増し、40〜50代に発症する人が多い。早期発見が何より大切なことは広く認知されつつある。そのためには定期的に検診を受けること。また、セルフチェックも異変に気づく大切な方法のひとつ。

 一方、前立腺がんは中高年に多くみられる男性特有のがん。尿が出にくい、排尿の回数が増えたという症状が出ることもあるが、初期には自覚症状が現れにくく、気づかないうちに進行・転移してしまうことも。乳がん、前立腺がんともに患者数は増えているものの、早期発見で治る可能性が高く、定期的な検診がとても重要だ。

 乳がんの啓発活動として日本でも認知が広がってきているピンクリボンキャンペーンは、1980年代にアメリカで始まったもの。日本でもさまざまな企業が参加し、早期発見、早期診断、早期治療の大切さを伝えている。

 百貨店の大丸松坂屋百貨店ではESG活動のひとつとして、このピンクリボンキャンペーンと前立腺がんの早期発見、適切治療を目指すブルークローバーキャンペーンを同時に行う「みんなでもっと、がんを知ろう、みんなでもっと、みんなを愛そう。THINK PINK! THINK BLUE!」キャンペーンを実施している。

大丸松坂屋百貨店のTHINK PINK! THINK BLUE!を企画した秀島麻友子さん(左)と、ブルークローバーキャンペーンを立ち上げた須藤英彦さん(右)
大丸松坂屋百貨店のTHINK PINK! THINK BLUE!を企画した秀島麻友子さん(左)と、ブルークローバーキャンペーンを立ち上げた須藤英彦さん(右)

 「大丸松坂屋百貨店はお客さまや従業員に女性が多いこともあり、『女性をサポートしたい!』という想いより、10年以上前からピンクリボンキャンペーンを応援しています。当社のオリジナルキャラクター“さくらパンダ”も活用して、幅広い年代の女性にご参加いただいています」と話すのは、販売促進担当としてこのキャンペーンに携わっている秀島麻友子さん。

 そして、ブルークローバーキャンペーンを担当しているのは、自らも前立腺がんに罹患した経験を持つ須藤英彦さん。

 「4年前、61歳の時に前立腺がんに罹患しました。前立腺がんは50代後半から60代で発症が多くなると聞き、定期健診の時にオプションのPSA検査を受けてみました。すると『精密検査を受けてください』と。そして、前立腺がんとわかりました。早期だったのでいろいろな治療方法から選択でき、私は放射線治療を選択。いまは寛解の状態です。当時、困ったのは情報が少ないこと。医師にセカンドオピニオンを聞いたり、患者会に入って経験者から教わったりしながら、治療方法を決めました」と須藤さんはいう。