「腸内の有用な菌に働きかけ、腸内環境を整えるのが基本」とされてきたこれまでの腸活に新たなメソッドが登場! それが「酪酸菌が作り出す酪酸を利用して“腸を鍛える”」という新たな考え方。そのメカニズムや酪酸菌の可能性について腸内フローラ研究の第一人者に解説してもらいます。
「整える」から「鍛える」腸活へ
全身の健康を左右するとして、世界規模で研究が進んでいる腸内フローラ。腸内には1000種類以上、100兆個もの菌が存在し、その中で今注目を集めているのが「酪酸菌」だ。酪酸菌とは、食物繊維をエサとして「酪酸」を産生する菌の総称。大腸の上皮細胞はエネルギーの約60〜80%を酪酸から得ていることからも分かるように、酪酸菌は腸にとって非常に重要な存在だ。
これまでの腸活といえば、さまざまな菌をプロバイオティクスとしてとり入れることで、腸内環境を「整える」のがメインだった。しかし、さまざまな研究によって酪酸菌が産生する酪酸の働きが明らかになってきた昨今、そこから一歩進んで酪酸菌によって「腸を鍛える」という、これまでにないアプローチで腸の機能を維持・向上できる可能性が見えてきている。