収入の減った世帯に最大30万円の支給が、国民1人当たり10万円へーー。国の政策については、賛否両論が毎日のように伝えられますが、働く人への支援は、今回新たに整えられたものに加えて、以前から用意されている仕組みなど、あまり知られていないものもあります。急激な収入減、突然仕事を失う、家賃が払えない……。こうした事態に陥ったときにはどうすればいいか、ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんが解説します。

 新型コロナウイルスの影響は広がり続けています。外出自粛の要請を受けてほとんどのアミューズメント施設が休業したり、さらに緊急事態宣言を受けて、深夜や週末に多くの店が閉まったりしています。働く個人にとっても、経済的な影響は避けられないでしょう。そこで、あなた個人のお金の問題を整理してみましょう。

働き方の違う人たちが、それぞれ心配すべきこと

 お給料をもらう働き方について、以下のような分類をしてみたとき、最も不安定なのは誰でしょうか。

○アルバイト
○フリーランス・自営業者
○正社員

 「アルバイト」は出社して勤務した日数、時間に応じて給料が決まります。つまり、お店が臨時閉店になって月8日バイトが減れば、8日分給料が下がります。一番収入面で不安定なのはアルバイトです。

 「フリーランス・自営業者」も苦しい時期です。固定的な契約がない場合、働いた分だけ収入に直結する立場なので、仕事が減ればそのまま収入も減ってしまうからです。

 一方で、上記のような働き方でも、仕事が減らない人もいます。小売店のレジ打ちや品出し、配送業の方々、医療従事者、介護従事者などはストップすることがないどころか、むしろ忙しさは増しているかもしれません。もちろん、感染リスクと向き合いながらお仕事される日々は、収入の心配以上に大変なこととお察しし、感謝します。

 「正社員」はどうでしょうか。正社員の場合、会社が倒産しない限り、固定給をもらうことはできます。ただし、勤務時間が短くなったり、テレワークだったりで、残業時間が減って収入減になる人はいるでしょうし、業績が厳しくなってボーナスが期待できなくなるかもしれません。

 また、仕事の内容によっても違いがあるでしょう。社会のインフラとして忙しさを増している会社もある一方で、休業が長期化したり、売り上げ減少が深刻になったりして、雇用を維持することができなくなる会社も出てきています。先日も、従業員を全員解雇したタクシー会社がニュースで伝えられていたように、正社員であっても、いきなり仕事と収入源が断たれることもあり得ます。

こんなとき、こんな手続きでお金がもらえる5つのケース

 そこで、いくつかのシチュエーションに沿って、困ったときお金がもらえる制度を紹介します。ここに紹介したのがすべてではありませんし、新たに政策が追加されることもありますので、国、都道府県、市区町村のホームページなどを適宜参照してみてください。なお、情報は記事執筆時、2020年4月20日時点のものです。最新情報は各自でご確認ください

○ケース1:すべての家計への支援が決まった

 記事執筆当初は「収入が減少した世帯」に「世帯最大30万円」の「生活支援臨時給付金」が検討されていましたが、政策が大きく転換され、「誰でも1人10万円」という「特別定額給付金(仮称)」制度を実施することになりました。

 給付の対象となるのは、2020年4月27日時点の住民基本台帳に記載されている人です。4人家族なら40万円、1人暮らしなら10万円ということになり、また新型コロナウイルスの影響で収入が減ったかどうかは問われません。

 世帯主に対して請求書類が送付され、申請を郵送もしくはオンライン(オンラインの場合はマイナンバーカードが必要)で行います。本人名義の銀行口座へ振り込みがされる予定で、最短では5月に振り込みも可能としていますが、市区町村によってスケジュールが変わってきます。詳しくは居住地の市区町村からの説明資料を確認してください。