お口のお手入れには“三種の神器”を

――体全体の健康のために、口内環境がとても大事だということですが、お2人は歯やお口のお手入れはどんなふうにされていますか?

坂本 オーラルケアは、歯科医院でのお手入れと、家で行うセルフケアの2本立てが基本です。私は3~4カ月に一度、スタッフに歯の掃除をしてもらい、毎日の歯磨きには、歯ブラシ、歯間ブラシ、フロス(糸)と何種類かの歯磨き粉を使っています。歯周病っぽいな、飲み過ぎたな、歯茎がちょっと腫れてるわ…など、状態や気分に合わせて歯磨き粉を使い分けているんです。

真織 えっ、歯磨き粉ってそんなに種類があるんですか。歯磨き粉はそれほど高価ではないから、いろいろ揃えて並べておいたら歯磨きが楽しくなりそう(笑)。私も宝塚の後輩のつてでいい歯医者さんに巡り合って歯磨きの指導を受けて以来、歯磨きにはまりました。夜は湯舟の中で10分くらいかけて磨きます。歯ブラシを3本使い、歯間ブラシもサイズ別に3~4種類、もちろんフロスも使って、夜は舌まで磨いてます。歯の定期健診も2か月に1回、行っています。

坂本 うわぁ、かなり意識が高いのね。びっくりだわ(笑)。真織さんが続けている「歯科医院での手入れ」「セルフケア」に加えて、今私が注目し、友人や患者さんにおススメしているのは、「優秀なプロバイオティクスであるロイテリ菌の摂取」です。この3つを、私は“お口のお手入れの三種の神器”と呼んでいます。ロイテリ菌は「ロイテリン」という抗菌物質を作って口腔内や腸の悪玉菌を抑え、菌のバランスを整えてくれるんですよ。その結果、全身の健康を維持できるんです。プロバイオティクスとしてロイテリ菌を使うバクテリアセラピーですね。

お口を守る“三種の神器”
お口を守る“三種の神器”

菌の調和を整える「体内細菌の指揮者」

真織 プロバイオティクスとしての乳酸菌には、いろいろな種類があるんですよね。その中で、特にロイテリ菌がおすすめなのは、どうしてですか?

坂本 ロイテリ菌は乳酸菌の一種ですが、乳酸菌は動物由来、植物由来、ヒト由来の3つに大別されます。ロイテリ菌はもともと人間の体にあったもので、母乳などを通じてお母さんから赤ちゃんにプレゼントされ、引き継がれてきたんです。そうして、赤ちゃんがお母さんの体の外の世界で健やかに成長していくために免疫力を上げ、カラダの内外で生まれる病気のリスクを減らして来たんです。

 また、ロイテリ菌はもともと、人間の体内で棲んでいたので、胃酸や胆汁に強く、毎日摂取することで口から胃・小腸や大腸などすべての消化管に定着してコロニーを作ることも確認されているんです。ビフィズス菌などの善玉菌に対しては影響を与えず、特定の悪玉菌だけに対抗する性質があり、副作用もないので、安心して摂取できます。

ロイテリ菌の働き。善玉菌に影響を与えず、悪玉菌を抑制する
ロイテリ菌の働き。善玉菌に影響を与えず、悪玉菌を抑制する

ロイテリ菌の写真
ロイテリ菌の写真

真織 昔の人はみんな、ロイテリ菌を持っていたんですね。でも、わざわざ摂取するということは、今は体内にロイテリ菌を持っている人は少ないんですか。

坂本 現代の日本人でロイテリ菌を持ってる人は数人に1人と言われています。都市化したライフスタイルや現代の食生活の影響の中で失われてしまい、都市部ではその割合も非常に低い水準になっています。だから私は皆さんに、ロイテリ菌の入ったヨーグルトやサプリメントの摂取を勧めています。ロイテリ菌を摂取することで「口内フローラ」のみならず、「腸内フローラ」まで改善されますから。

真織 口からカラダ全体に、よりきれいなお花畑を作ってくれるわけですね!

坂本 ロイテリ菌は抗菌作用で歯周病菌やむし歯菌などの悪玉菌を抑制してくれる一方で、ビフィズス菌など善玉菌の増加や活性化を助けてくれる働きがあります。菌は、それぞれが「共存共栄」しながら生きています。それぞれの菌の存在に役割があり、その調和を整えることから、ロイテリ菌は「細菌の指揮者」とも呼ばれています。元々、空気を嫌う性質を持っているので、歯周病にかかっている歯茎の中にも入りこんで、抗菌物質「ロイテリン」を出して、歯周病菌をやっつけてくれるんですよ。

ロイテリ菌には歯周病菌の増殖を抑制する働きがある
ロイテリ菌には歯周病菌の増殖を抑制する働きがある