お金に働いてもらうため、早めに運用スタートを

 第2部のスペシャルトーク・セッション「2019年、お金力の磨き方」では、野尻さんに加え、マネックス証券チーフ・アナリスト兼マネックス・ユニバーシティ長の大槻奈那さん、日経ウーマン編集長の藤川明日香も登場。

マネックス証券株式会社 チーフ・アナリスト兼マネックス・ユニバーシティ長 大槻奈那さん。東京大学卒業。ロンドン・ビジネススクールにてMBA取得。2016年よりマネックス・ユニバーシティ長も兼務。著書に『1000円からできるお金のふやし方~超・初心者のための投資のキホン~』(ワニブックス)など
マネックス証券株式会社 チーフ・アナリスト兼マネックス・ユニバーシティ長 大槻奈那さん。東京大学卒業。ロンドン・ビジネススクールにてMBA取得。2016年よりマネックス・ユニバーシティ長も兼務。著書に『1000円からできるお金のふやし方~超・初心者のための投資のキホン~』(ワニブックス)など

 家計簿の話題になり、野尻さんは「家計簿をつける人は貯蓄型。投資型の人はクレジットカードの明細を上手に家計簿がわりにしている人が多いように思う」と発言。

 この1月から家計簿アプリのマネーフォワードMEをつけ始めた大槻さんは「資産管理が家計簿だけで収まらない今、それを全部“見える化”するためにはアプリを使うのも手。クレジットカードのポイントを合計した資産額が分かるし、保有マンションの今現在の資産額も分かる」と家計簿アプリを推奨した。

 話題は変わり、日本女性の労働環境の変化や睡眠時間の話に。日本女性の睡眠時間が世界と比較しても短いことを挙げ、「とにかく女性は忙しい。やっぱりお金に働いてもらうしかない」と大槻さん。

 毎月3万円を貯金で積み立てた場合と、複利計算で年率3%の投資を続けた場合を比較した例を挙げ、「貯金派の場合は25歳から始めて、65歳で貯まるのは1000万円ぐらい。悪くないですが、投資では4500万円になります。この差分というのが、貯金VS投資ということになります」と解説。
 
 また、投資も25歳で始めた場合と45歳で始めた場合では、スタート時点が違うだけで約3倍変わってくるとしたうえで、「投資は早めに始めた方がいい。もちろん貯金は悪くないと思いますが、投資の方が、あとから振り返った時に案外殖えているな……と感じることもあると思います」と説明した。

「2019年はなかなか厳しい年だとは思う」と大槻さん。米中貿易摩擦、10月の消費増税などが心配要素。来年ぐらいから景気は鈍化すると見られ、利益を出すためには今年半ばが売り時だという
「2019年はなかなか厳しい年だとは思う」と大槻さん。米中貿易摩擦、10月の消費増税などが心配要素。来年ぐらいから景気は鈍化すると見られ、利益を出すためには今年半ばが売り時だという

税制優遇が受けられるiDeCoやNISAを

 初心者におすすめの方法は?という参加者からの質問には、「iDeCoは出した分だけ所得から控除してくれるので、住民税と所得税が減ります。投資で得られた運用益や分配金には、通常約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAでは1年間で40万円の非課税投資枠が使えます。長期投資がおすすめ」と野尻さん。

 税制優遇に関して藤川も、「私も税制優遇の制度は使わない手はないなと思って3年前に投資を始めました」と賛同。昨年は運用益が出ていたが、今は、iDeCoの方は少し元本割れしているとしたうえで「投資は長くやることで殖えていくものだと認識しているので、あまりそこは気にしていません。波があっても、長期的に見れば右肩上がりになっている」と、やはり運用を長期的に考えていると明かした。

 資産の活用バランスを知りたいという質問に関して大槻さんは「自分の自由になる時間」と「年収の何%貯めたいか」によって変わってくると解説。時間があり年収の2~3%を貯めたいならばアルバイトやアフィリエイトという手もあるが、時間がなくてもできるのが投資だ。

 「元本を減らさず投資をしたい方は、貯金を多めにし、個人向け国債など元本の安全性の高いものを組み合わせて。リスクをとって年収の10%ほどをと考える人は、国内株式プラス外国株式を多めに合わせて」(大槻さん)。

 目標とする資産額や運用年数などにより、将来の資産は大きく変わってくる。先々の生活を見据え、早めに“お金力”を磨いていく必要があるだろう。

会場には写真映えするスポットも。SNSに写真をアップした方にはサブレがプレゼントされた
会場には写真映えするスポットも。SNSに写真をアップした方にはサブレがプレゼントされた

取材・文/辻アユコ 撮影/木村和敬

マネックス証券


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