口内リスクにはすぐに始められるケアで対抗

 人生100年時代といわれていますが、40・50代はちょうど折り返し地点。「人生の後半に向けて、口内ケアも戦略的に行うことが大切」と照山さん。ARIA世代の口内リスクに対応するケアをアドバイスしてもらいました。

こまめに水で口をゆすぐ
まめに水分を摂ったり、口をゆすぐことで、口内にたまった食べかすや細菌などを洗い流すことができるうえに、口の中をブクブク洗浄することで口回りの筋肉の衰えを防止する役割も。口の中がちょっとネバついてきたなと思ったタイミングで試してみましょう。

口回りを意識して動かす
「コロナ禍のテレワークで人と話す機会が減ったことや、フィット感のあるマスクで口元が圧迫されるといったストレスで、顎関節症(がくかんせつしょう)のような症状を訴える方も増えています。口元は頭や首と地続きなので、口回りの筋肉がこわばることが、結果的にさまざまな箇所の痛みにつながっているんですね。ですから、うがいやおしゃべりといった簡単な動作で積極的に口を動かしてください」(照山さん)

唾液腺マッサージで唾液を出す
唾液が出にくくなる40~50代には、「唾液腺マッサージ」もおすすめ。顎の周囲にある三大唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)を指で軽く圧迫し、唾液の分泌を促しましょう。

セルフケアとプロのケアで万全に

 口内環境を整えるには、普段の歯磨きを見直すことも重要。照山さんが「今すぐにやめてほしい」という間違いは「強すぎる歯磨き」です。女性でも力を入れてゴシゴシ磨く人が多く、歯の根元が傷ついてしまう結果に。では、どのような歯磨きがおすすめなのでしょうか。

「まず、歯ブラシは普通かやわらかめのものがいいですね。30代以降は、歯と歯茎の境目、つまり歯周ポケットの汚れを取ることが大切。硬い歯ブラシでは、それができません。そして、“鉛筆持ちで歯ブラシを持ち、ちょこちょこ磨く”。これは、余計な力を入れず、やさしく磨くための工夫のひとつです」と照山さん。

 また、歯磨きは朝と晩を中心に、できるタイミングで行えばいいそう。「夜はデンタルフロスや歯間ブラシを併用して、念入りにケアすることが重要ですが、昼間に関しては、仕事などの都合で歯磨きできない人もいると思います。その場合は、洗口液で口をゆすいだり、デンタルフロスや歯間ブラシで詰まりを取るぐらいで十分です。時間がないからといって乱暴に磨く人もいますが、それは逆効果。歯科の診察でも、急いで歯磨きを済ませたために、歯茎を血だらけにして来院する患者さんがいますが、歯茎への機械的な刺激は口腔がんなどの粘膜疾患を誘発するリスクにもなるので気をつけてほしいですね」(照山さん)

 歯磨きでセルフケアを行うほか、3~6カ月に1回は歯科医院で定期検診を受け、口内の状態をチェックしてもらい、自分では届かない部分をクリーニングしてもらうことも大事。「ただ、それで安心せず、プロにリセットしてもらった口内をキープするために、セルフケアはしっかり行いましょう」と照山さんは念を押します。