―― ヒロミがゴスペルを聴いて涙を流すシーンは、何か新しいものと出合ったときの心の動きが見えるようでした。

こやま そこが、まさに物語の核になっています。あのゴスペル、実は太田監督が日経ARIAのイメージで歌詞を考えて作ったオリジナル曲なんです。監督のこだわりを改めて感じました。

太田 音楽は、歌詞のタタキは僕が書きましたが、実際に女性の気持ちを解釈して、より音楽として肉付けしていってくれたのは、音楽プロデューサーの福島節さんと、シンガーソングライターの澤田かおりさんです。また、時間がない中でAnointed mass choirのメンバーが、ゴスペルならではのコーラスも考えてくれました。

 映像では、ヒロミだけではなく、他の二人の転機も表現しています。独身で管理職のシホは、一念発起して起業するため、慣れ親しんだオフィスで自分の荷物をまとめるシーンがあります。外資系企業で働くワーキングマザーのヨウコは、仕事ぶりを外国人の上司に評価されて海外出張の誘いを受け、喜びで思わず駆け出す様子を描きました。

 ムービーに描かれた3人それぞれの転機をもとに、作家の宮木あや子さんが日経ARIAオリジナル小説『3人のARIA』を書き下ろしたんですよね。

―― 制作期間が極端に短かったのに、物語の背景や音楽まで本当に細部まで作り込まれていますね。

こやま 私もビックリするくらい、短期間でよくぞここまで、と。スケジュールはすべてジェットコースターで、もう一度同じようにやるのは絶対に無理(笑)。

 でも、はじめから「いいものができそう」という予感はありました。日経ARIAの羽生祥子編集長と打ち合わせを重ねて、そのエネルギーと信念に共感しましたし、クリエーティブ面でも、良いものを作れば絶対に分かってもらえる確信があったんです。

太田 ……僕は正直、出来上がるまで「ヤバい、大失敗するかも」とずっとヒヤヒヤしていましたけどね。

こやま えーっ! 衝撃の事実なんですけど! いつも落ち着いて飄々(ひょうひょう)としているから「あ、監督の中ではビジョンがきちんと見えてるんだな」と思い込んでたのに(笑)。

ムービーで流れるゴスペルは、太田監督の発案で作られたオリジナルソング。新しいことに挑戦する女性に勇気を与える“応援歌”になっている
ムービーで流れるゴスペルは、太田監督の発案で作られたオリジナルソング。新しいことに挑戦する女性に勇気を与える“応援歌”になっている