自分の分身としてお金に働いてもらう

 第2部では『夢を叶えるためのお金の働かせ方』と題して、三井住友DSアセットマネジメントの谷本達宏さんが講演。ARIA世代に向けて、資産形成の考え方やお金の効率的な働かせ方、増やし方を教えてくれました。

三井住友DSアセットマネジメントの谷本達宏さん
三井住友DSアセットマネジメントの谷本達宏さん

 長寿大国の日本では、今や100歳以上の人口は7万人以上で、そのうち88%を女性が占めています。漫画『サザエさん』に登場するおじいさん・磯野波平は54歳、おばあさん・フネは52歳と聞くと驚きますよね? 昭和26年の日本人の平均寿命は男性が約60歳、女性が約65歳だから、50代はもう「おじいちゃん、おばあちゃん」だったのでしょう。それに比べると、人生100年時代の今、50代はまだまだ若い部類に入ります。

 旅行、海外語学研修、国内MBA留学、ソムリエといった趣味や仕事につながる資格の勉強など、夢は広がりますね。人生を充実させるためにお金が必要なら、今のうちからぜひマネープランも考えてみてください。

 お金を作る手段は「コツコツ預貯金を増やす」「節約する」「不動産で家賃収入を得る」「働いて稼ぐ」などいろいろありますが「お金を働かせる」――つまり自分の分身としてお金に働いてもらうこともできます。生活費には手をつけてはいけませんが、当面使わないお金があるなら一部だけでも運用してみると、メリットが得られるかもしれません。

 100万円の預貯金が年2%ずつ増えると、1年後には102万円、10年後に122万円になります。でも、今はゼロ金利だから預貯金ではほとんど増えません。持っているお金が2倍になるのに何年かかるのか、「72の法則」を使って計算してみましょう。72の法則とは、資産運用において、元本を2倍にする場合のおおよその年数や金利が簡単に求められる法則をいいます。この法則によると、投資した額が2倍になるまでの年数は、「金利(%)×年数(年)=72」という数式で表わされます。覚えておくと便利ですよ!

たとえば金利が0.001%だと

72÷0.001=7万2000年

2倍になるのに、なんと7万2000年もかかってしまいます!

 さらに、物価が上昇し続けてインフレになると、お金の価値が変わります。公務員だった私の祖父は、住宅取得を目標にコツコツお金を貯めていましたが、戦後のハイパーインフレでお札が紙くずのようになってしまいました(苦笑)。ですからインフレ対策としても運用でお金を増やすことは有効です。

うまく運用すればお金の寿命を延ばせる

 2019年6月に金融庁が「95歳まで生きるには夫婦で約2000万円の金融資産の取り崩しが必要になる」という試算を示して話題になりました。必要な金額は人それぞれではありますが、もし2000万円を運用しながら毎月10万円ずつ取り崩していくと、お金はいつ底をつくでしょうか?

利回り0% … 16年9か月でなくなる(60歳から取り崩すと76歳まで)
利回り3% … 23年2か月でなくなる(60歳から取り崩すと83歳まで)

 運用成果しだいで、お金もずいぶん長生きできることが分かります。お金を使って長く楽しむためにも、お金の寿命を少しでも伸ばした方がいいですよね。

 では、「お金は自分の分身として働く」と考え、好きな働き方を考えてみましょう。皆さんはどの国が好きですか? アメリカ、フランス、イギリスなど、好きな国や地域にお金を預けたり運用したりする外貨預金、外国株式、外国債券も選択肢の1つです。

景気の動きや国際情勢などを見ながら運用する

 2008年のリーマンショックによる株価暴落後、日経平均株価はバブル後最安値の6994円90銭まで下落しました。そのイメージから、「株式投資は怖い」と思っている人もいるかもしれません。

 でも、景気は常に動いていて、今は2万3000円台(2020年1月末時点)まで回復しています。むやみに不安がらず、景気動向に合わせてリスクの少ない運用方法を探すのも手。株価が安い景気の谷では株を買い、景気の山のときは手堅く預貯金に預けたり国債を買えば大きな損は避けられます。