「キャリアは仕事だけでなく人生そのもの。ハッピーキャリアを築いて人生をまるごと楽しむためには、キャリア戦略を立てることとお金を味方につけることが大切」(森本千賀子さん)。40代~50代のARIA世代が、人生100年時代を豊かに楽しく生きるための「キャリア戦略」と「マネー戦略」について、長年キャリア支援に携わってきた森本千賀子さんと、資産形成のプロ・三井住友DSアセットマネジメントの谷本達宏さんにお聞きしました!

「会社に所属していれば安心という時代は終わりました。名刺の肩書に頼らず、自分の価値を高めるセルフブランディングが何よりも重要」と語るmorich代表取締役の森本千賀子さん
「会社に所属していれば安心という時代は終わりました。名刺の肩書に頼らず、自分の価値を高めるセルフブランディングが何よりも重要」と語るmorich代表取締役の森本千賀子さん

「会社に所属していれば安心」という時代は終わった

 2020年1月29日(水)、都内某所で「QOL(Quality of Life)セミナー ~人生100年時代のハッピーキャリアの見つけ方」が開催されました。第1部ではリクルートで企業の採用支援や人材戦略コンサルティングを手がけ、2017年に起業した株式会社morich代表取締役兼All Rounder Agentの森本千賀子さんが登壇。「人生100年時代の自分らしいハッピーキャリアの見つけ方」と題して、ARIA世代に向けて、戦略的にキャリアを構築するためのポイントを教えてくれました。

 私は新卒でリクルートに入社して約25年間キャリアに向き合い、2年前に独立するに至りました。「キャリア=人生そのもの」と考えているので、仕事や家事・育児など、やりたいことを全部やるのが私にとっての「ハッピーキャリア」。私の経験だけでなく仕事で出会った大勢のエグゼクティブからの学びも踏まえて、人生を輝かせるためのセルフブランディング術やキャリア戦術など、すぐ実践できるヒントをお伝えします!

 人生100年時代と言われる昨今、そうすると私は今49歳なのでちょうど折り返し地点にいることになります。現代はITの進化、AIの台頭などによって、今まで価値があったものが急速に陳腐化しています。自分の仕事がいずれAIやロボットに取って代わられる可能性もあり、「会社に所属していれば安心」という時代は終わりました。名刺の肩書に頼らず、自分の価値を高めるセルフブランディングが何よりも重要です。今や、変わらないこと、リスクをとらないことがリスクになる時代です。

 私自身は夫の単身赴任によるワンオペ育児や東日本大震災をきっかけに、働く意味を考えるようになりました。「何ができるかより、何をしたいか」を考えた結果、行きついた私自身のブランドビジョンは「困ったときのもりち」。転職だけでなくオールラウンダーエージェントとして、あらゆる困りごとに全方位で応える仕事を始めました

 セルフブランディングを意識したことはなかったけれど、発信することの価値や「何を言うか以上に誰が言うか」が大事だと気付き、ブランドつくりのため、多くの人に知っていただくための努力をしてきました。多様なメディアでの連載や十数冊の著書も執筆し、年150回超の講演に呼ばれるようになったのは、自分の価値を意識して確立してきたからだと思います。そんな私が大事にしてきたことは…

ARIA世代のキャリア戦略①希少性を高める

 あるスポーツを大学から始めて五輪に出場した選手がいます。彼曰く「マイナースポーツでライバルが少なかったから」。ビジネスも同じで、ブルーオーシャン(未開拓分野)、つまり競合のいない分野や職種がねらい目ということなんです。

 私も就活では敢えて人気企業ランキングや周囲の目線は全く気にせず、さらに当時は女性に人気のなかった営業職を選びました。キーワードは「逆張りと掛け算」。逆張り(株式投資用語で相場と逆の取引をすること)と専門性の掛け算で、さらに希少性が高まり、自分の価値が上がります。最近は女性の社外取締役や社外監査役の需要も増えていることからも、定年後の再就職をにらんで経営の勉強をしたり管理職の経験を積むのもまさにおススメです。

ARIA世代のキャリア戦略②必然性を大事にする

 スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授は20世紀末に「個人のキャリアの8割は偶然の結果だ」という「計画的偶発性理論」を提唱しています。目の前のことを一生懸命こなしていれば偶発的な結果が主導され、目指すゴールに到達しやすくなるというのです。好奇心をもち面白がって、臆せず新しいことにチャレンジしてみましょう社内の横断プロジェクトや管理職に手を挙げるなど、今までと違う筋肉を鍛えたり、起業や副業で自ら仕事を取りに行くのもいいでしょう。