第3部 トークセッション SDGsとESGを見据えた取り組み

──昨年は新型コロナウイルスに世界中が揺れた1年でした。コロナ禍における取り組みから聞かせてください。

大和証券グループ本社・田代さん(以下敬称略) 対外的には、子ども食堂を展開しているNPO法人へ食料品を寄付したり、クラウド型投げ銭システムを利用料無料で提供してミュージシャンの方たちを応援したりしていました。社内では、全社員を対象にテレワーク制度を本格導入し、やむを得ず出勤が必要な社員には、感染リスクを低減させる通勤手段で出社できるよう制度を拡充したり、全社員が有給の特別休暇を無制限に取得できるようにするなど安心して働ける環境を整えました。さらに、在宅でもお客様とコミュニケーションがとれるように機器を整えたり、来店されるお客様には細心の注意を払って対応しています。

アサヒグループホールディングス・近藤さん(以下敬称略) 4月にグループのCEOが「社員とその家族の健康と安全を最優先とする」というメッセージを発表。在宅勤務が原則となったため、オンラインシステムを整備。さらに、関係企業の皆様と連携して子ども食堂をサポートしたり、世界各国の医療従事者へアサヒグループの商品を届けたりしました。

──次に、環境への取り組みについてお話しください。

近藤 先ほどご紹介した取り組みに加え、乳酸菌飲料「カルピス」の研究に由来する枯草菌を配合した堆肥化促進材の開発・販売も行っています。野菜くずなどの堆肥化を促進するもので、食品資源の循環利用に貢献しています。

田代 再生可能エネルギー分野への投資に関しては、国内のみならず、グリーン・ジラフというオランダにある再生可能エネルギーに特化した金融助言会社にも出資しています。また、環境問題解決のために投資する会社の資金調達をお手伝いしたり、日本企業や投資家の環境問題に対する関心の高まりを正確に捉えることも、証券会社の使命だと考えています。

──ダイバーシティの推進については、いかがですか。

田代 多様性に関しては、日本では女性活躍に課題があると思っています。まずは辞めない環境をつくること。そして、施策決定に関わりたいと思えるようにしていくことです。例えば、研修所にベビーサロンを設けて研修に出やすい環境をつくったり、復帰をしやすいように産休・育休中でも昇格させたり。大和証券は、新たな制度を次々と導入することで、女性管理職比率を向上させてきました。女性役員の割合も現在は約23%ですが比率の拡大を目指します。

近藤 アサヒグループホールディングスはここ数年で急速に事業構造が変化し、海外のグループ社員が半数以上になりました。現在は、さらなる事業成長に向けて将来の経営者を育成する研修に、外国籍の社員たちも積極的に参加しています。

──最後に、メッセージをお願いいたします。

近藤 コロナ禍は、人々の生活や企業活動に多大な影響を与えています。我々はこれからも社会の持続性に積極的に貢献しながら、攻めのESGに取り組んでいきたいと考えています。

田代 個々人が将来のために何ができるかを考えた時、証券会社としては、それに応えられる商品をつくっていく必要があると思います。皆様の期待に応えられる商品づくりのために「こういうものだったら投資してみたい」というお声を聞かせていただければと思います。

■セミナーの様子はアーカイブでもご覧いただけます。詳しくはこちら(3月31日まで公開)

取材・文/山内章子 写真/青地あい