芦田淳のファッションショーであふれた涙

秋吉 さらにすごいのは、跡を継がれている芦田多恵さんの服にも同じことが言えること。実は今、私が着ているのは多恵さんがデザインしたTシャツです。服としてはラフであるはずのTシャツですが、気持ちがシャンとしてモチベーションを上げてくれる。そういう気持ちをつくってくれるのは、やはりオートクチュールのクオリティーをプレタポルテで提供するというブランドの力なのかな、と思います。

―― 秋吉さんのブログを見ると、芦田さんのファッションショーにも行っていたと書かれています。あるときの感想として、「ショーを見て衝動を覚え、感動して、涙があふれるなんて……。感無量」とありました。

秋吉 ファッションショーって、きれいな洋服を見せるだけではないんですよね。ファッションは時代を反映しているから、ショーを見るのはある種の社会学や哲学の勉強をするようなもの。自分が生きている「今」が分かり、世界の情勢や関心事、今後の動向まで読み取れます。

 例えば、動物愛護運動の高まりによって毛皮などが使われなくなり、化学繊維のものが中心に。モデルの肌の色の変化には、人種差別に対する意識が反映されます。男らしさや女らしさという概念がなくなってジェンダーレスになり、義足をつけたハンディキャッパーのモデルも登場。見るものすべてが勉強になって、自分の情報アンテナの感度を上げるには最適なんです。