「自己実現」という言葉が苦痛だった

壇蜜 ある程度指針が決まっていて、この枠の中でショータイムの人形としてやってくって言うのが苦じゃないんです。だからよかったのかもしれません。昔から自由にやりなさいと言われるのってすごく苦手で。好きにしていいんだよっていわれると、何をしていいか分からない。「自己実現」って言われるのが、苦痛だったんですよ。

 小・中・高校と厳しく自由のない環境で育ってきた自分に、大人になってから「自己実現」を求めるのはあまりにもキツすぎました。だったら最初からインターナショナルスクールに入れて自由な環境で自己実現を教えてくれって。自分を出せる場は自分の中にしかない。そう思っているから、文章を書くことに執着があるのかもしれないですね。

―― なるほど。壇蜜さんがマメに毎日ブログを更新するのも、そういう理由からなんですね。最後にお聞きしたいのですが、ARIA読者には「自分が本当にやりたいことが分からない」と悩む人が多くいます。壇蜜さんはあらゆる仕事を経験していると思いますが、「この仕事が天職」というのは、どうやって決めたらいいのでしょうか。

壇蜜 無理やりにでも自分で決めてしまうしかない、と思います。例えば「今の仕事が天職かも」「これで食べていけるなんて私スゴイ!」って思う時間を1日2分作ってみてください。繰り返すうちに、そう思えてくるかもしれません。

取材・文/竹下順子 写真/洞澤佐智子 ヘアメイク/カツヒロ スタイリング/奥田ひろ子(ルプル)

壇蜜(だんみつ)
タレント
壇蜜(だんみつ) 1980年、秋田県生まれ、東京都出身。20代はさまざまな職業を経験し、2010年にグラビアデビュー。女優として多数のテレビ番組や映画に出演し、2013年に映画『甘い鞭』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。バラエティなどにもマルチに活躍し、新聞、雑誌などに連載を持つ。最新刊は、ネパール、メキシコ、タイを旅して各地の死生観に触れた『死とエロスの旅』(集英社)。調理師免許、遺体衛生保全士の資格を持ち、日本舞踊坂東流師範でもある。