何の仕事も続かない…そして、恩人の死に衝撃

―― そのままエスカレーター式に女子大へ行って、卒業後は両親が望むように普通の会社に就職したんですか。

壇蜜 親の言う通りに就職しようと思ったんですけれど、全然無理でしたね。内定は一つも取れず、派遣でいろいろな仕事を点々としましたが、会社の人が何を言ってるのかよく分からなかった。調理師の学校にも通ったんですけど、自分が料理人になれる気がしなくて。

 それなのに、23歳のときからバイトで始めたホステスのヘルプは「あなたはよくお客さんをつなぐわね~」って褒められました。小学生の頃からなんとなく思っていたのですが、「やっぱり私、こういう仕事が向いてるんだ」って思いましたよ。

―― 高校生のころから心の中にあった「遺体と向き合う仕事」をするようになるきっかけは何があったのでしょうか。

壇蜜 のちに和菓子工場に勤めたのですが、20代前半でとてもお世話になった恩人が突然亡くなったんです。とてもショックでしたね。大切に思っている人が急に亡くなるっていうことが衝撃で。自分の気持ちに折り合いがつかなくなって仕事にも行けなくなっちゃって。それでその仕事を放棄するようになったことが、自分でもすごく嫌でした。

 この経験が「死」というものに向き合うきっかけになり、エンバーミングの専門学校に行くことにしたんです。親に「エンバーミングの仕事をしたい」と言ったら「それはあなたがやらなくてもいいことでしょ」って言われました。私を過保護に育ててきた自覚はあるんでしょうね、「そんな甘ったれた気持ちで務まるわけがない」と言われた記憶があります。でも、私には「たぶん務まっちゃうだろうなあ」という確信がありましたね。

『黒鷺死体宅配便』は24巻まで刊行。もちろん、壇蜜さんは全巻を読破している。2019年7月には25巻が発売予定