英国で労働者として生きながら、学び続けた

―― そういう実感の伴う知性は、文子とブレイディさんの書き手としての共通点だと思います。ブレイディさんは著書の中で「地べた」という言葉をよく使います。頭や机上ではなく、実際に人とぶつかることで本当の深い理解が生まれる。文子の、書物や師に学ばずとも、肉体で自分の思想を体得していったところと通じる点があります。

ブレイディ 私は英国で働いて、生活するというごく普通のことをしてきました。英国でアジア人の労働者として生きながら、その実感から学びを続けてきました。大学の先生に学んだんじゃない。だから、机で考えている人とは違うものを書いていきたいという気持ちは、ありますね。

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ブレイディみかこ 貧乏ってかっこいい!に変わった瞬間

取材・文/平山ゆりの 構成/市川礼子(日経xwoman ARIA) 写真/Shu Tomioka(ブレイディさん)

ブレイディみかこ
ブレイディみかこ ぶれいでぃ・みかこ/1965年、福岡市生まれ。高校を卒業後にロンドンやダブリンなど渡英を繰り返し、96年から英国・ブライトン在住。ロンドンの日系企業で勤務後、英国で保育士資格を取得、保育所で働きながらライター活動を開始。2017年に『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)で新潮ドキュメント賞受賞。Yahoo!ニュース|本屋大賞2019ノンフィクション本大賞、毎日出版文化賞・特別賞などを受賞しベストセラーとなった『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)他、著書多数。