「初めて見る北海道」が詰まった雑誌との出合い
この時買った『スロウ』に載っていた方々に、その週末に車を飛ばして会いに行ったほど大きな衝撃を受けました。「初めて知る北海道」に、目からウロコでしたね。この時から、私の仕事や北海道に対する向き合い方が変わっていきました。間違いなく、私の「逆転の一冊」です。
―― 「北海道」にこだわって活動をする伊藤さんが、そこまで引きつけられた理由はなんだったのでしょうか。
伊藤 実は、私はそれまで北海道の魅力に気付いていなかったんですよね。でも、東京での仕事が増えてくると、行く現場のあちこちで「北海道を拠点に活動してるってスゴイですね!」と言われるんですよ。こういうタイミングで出合ったのが大きかったのかもしれません。
東京で生活をしている人たちは、私たちが北海道に住んでいることを「羨ましい」と言うわけです。空気も食べ物もおいしくていいねって。でも、当時の私は、おすすめの観光スポットを聞かれても「うーん、羊ケ丘展望台とか、時計台とか……」みたいな感じで。今思えば、北海道に何もなかったわけではなくて、ただ私が「北海道のことを何も知らなかった」だけなんですよね。
5月31日公開の(下)では、伊藤さんが『スロウ』のどこに感銘を受けたのかを語ります。
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⇒逆転の一冊 伊藤亜由美『スロウ』で知った北海道の原石
取材・文/青田美穂 写真/川村 勲
クリエイティブオフィスキュー代表取締役、プロデューサー