「北海道」を掲げて挑むも、東京の壁にぶつかる

 そのとき決意したのは、北海道のタレントとしてもっともっと北海道を誇りにしようということ。そしていつか絶対に東京の方と名刺交換をしたときに、「オフィスキューさんですか! お会いしたかったです!」って言わせたいなと(笑)。

―― 北海道での知名度は抜群でも、東京では全く知られていない。「東京の壁」みたいなものにぶつかったのですね。

伊藤 東京との行き来が増えるたび、北海道のすばらしさに改めて気付くようになりました。新千歳空港に降り立つと空気がおいしいと感じるようになりましたし、東京と北海道では食べ物の味が全然違って。外に出て初めて、当たり前だと思っていた北海道の良さを実感するようになったんです。

 そんなある日のことです。何気なく立ち寄ったコンビニエンスストアで偶然、北海道の雑誌『スロウ』の表紙が目に留まりました。

 最初は、表紙写真のインパクトにひかれて立ち読みしていたのですが、そこには私の知らない北海道の土地でものづくりをする人たち、そしてその人たちの信念が書かれていました。感動してすぐに購入しました。