集中する=愛すること。集中すれば痛みが和らぐ

Chara 当時は無力さを感じましたね。私は小さい頃から愛に強い興味を持って、ずっとラブソングを作ってきました。『伝言』は失恋の曲だったんだけど、失恋したときって無力さを感じるので、その感覚と似ていたのかなって。「かなわない」みたいな気持ちですかね。でもこの本によって、いろいろと言葉についての想像が膨らみましたね。

―― 『ガウディの伝言』には、どういう気持ちで彫刻に向き合うかも書かれています。共感した部分はありましたか?

Chara 外尾さんは彫刻をするときに、石に導かれているような感覚で、石の中にいるような感覚で彫ると書いてあります。ミュージシャンも楽器と一体化しているような感覚で音を作ることがあって。そういう感覚を意識はしていなかったんだけど、この本を読んで、近いものがあるなと思いました。

 それに、「集中する」って愛することだと思うんですよね。ドイツの社会心理学者のエーリッヒ・フロムの『愛するということ』という本にも、そういうことが書いてあるんですけど。外尾さんは、ガウディのサグラダ・ファミリアに集中して彫り物をして。何かに愛を注いで集中することで、痛みや苦しみが和らぐという一面もあると思うんです。おいしいものに集中することもいいと思うし。私も落ち込んでいるときは楽器を触って集中することがあります。

「外尾さんは昔、コーヒーのCMに出ていましたよね。すごく声がすてきな方なんです」
「外尾さんは昔、コーヒーのCMに出ていましたよね。すごく声がすてきな方なんです」