裏切り、病気、孤独、死別、離婚、失業――ARIA世代にはあらゆるピンチが襲ってきます。そんな人生最大のピンチに陥ったときに、局面を打開するきっかけになった「逆転の一冊」を聞くリレー連載。一度はどん底を見た女性たちが「人生を好転させる」のに役立った虎の子の一冊とは? 連載第2回は、サンリオピューロランド館長の小巻亜矢さんの一冊。息子の死や離婚を経験した、地獄のような30代を抜け出すきっかけとなった一冊と、その後について語ります。
(上)2歳の息子の死に光をくれた本
(下)人の荷物を背負うのをやめた日 ←今回はここ
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⇒逆転の一冊 小巻亜矢「2歳の息子の死に光をくれた本」
縁や出会いは、自分でコントロールできない
―― 前回、『人生は廻る輪のように』(エリザベス・キューブラー・ロス)を「逆転の一冊」に挙げてくださいました。深く心に響いたところはどんなところですか?
小巻亜矢さん(以下、敬称略) たくさんありますが、「神よ、わたしにお授けください。変えられないことを受容する度量を。変えられることを変える勇気を。そして両者のちがいを知る叡智を」という言葉には、しびれますね。
40代で立て続けに乳がん、子宮の病にかかったことや、50代で今の仕事に就いたことも、私の運命としてあったように思います。巡りくる縁や出会いは、自分でコントロールできることではないですから。
―― サンリオエンターテイメントの顧問として、最初にサンリオピューロランドで働き始めたときは、来場者が減少して業績が低迷していた時期でしたね。館長の辞令を受けたときはどう思われましたか?
小巻 そのときは55歳。友人には「今さら苦労しなくてもいいのに。貧乏くじを引いたね」と言う人もいましたが、私はそう思いませんでした。