振り回されているものから離れたいのであれば、一度リセットしてみたらどうかなと思いますし、頑張りたいというハンドルを自分が持ってるなら頑張ってもいい。私のように自己肯定感が低いからこそ頑張ってこられたと、闇が光に変わる瞬間がありますよ。
この本の中に「人生は洗濯機の中でもまれる石のようなものだ。粉砕されて出てくるか磨かれて出てくるか、けっきょくは、それぞれの人が選択している」という一節があるのですが、自分を奮起させることや、プラスに変えられることが分かってくると、洗濯機に入れられても粉砕されない。60歳を前に、やっと自分が磨かれるという自負が持てました。
―― この先はどういうビジョンを持っていますか?
小巻 せっかくご縁があってピューロランドの仕事をしているので、キャラクターたちの活躍の可能性をもっと探ってみたいです。デザインやグッズ、エンターテイメント以外の分野で活躍できることがあるのではないかな、と。
もう一つは65歳からでも70歳からでも海外に留学したいです。オランダの大学で対話的自己論をもっと学びたい。学ぶことと仕事は二律背反ではないので、今の仕事をしながらでもあると思いますし。また次世代に今の仕事を渡すときもあるでしょうから、そのときに潔くバトンを渡せるようにしておきたいです。
「それは私の荷物じゃない」と思えるようになった
会社のことも2人の息子たちのこともベストは尽くしますが、ここから先は私が背負うことじゃない、というポイントをつかめるようになりました。人の課題に対して「それは私の荷物じゃない」と思える日がやっと来たんです。人は悩むことで体力を付けるのだから、その悩みを奪ってはいけない。「その人の荷物を肩代わりしては罪」と思えたら、人間関係も本当に楽になりました。今は毎日が楽しくて仕方がないです。
取材・文/竹下順子 写真/洞澤佐智子
サンリオピューロランド館長