どんな苦しみも、哀しみも「その経験が教訓になる」と学んだ
小巻 まず本の冒頭にある「逆境だけが人を強くする。教訓を学んだときに苦痛は消え失せる」という言葉が胸に刺さりました。
(子どもを亡くし)「死んだあの子はたった1人でどこに行ってしまったんだろう」とか、「一緒に死んであげなくてよかったんだろうか」と、ずっと思っていたんですね。それが、この本を読んでやっと心が解放されました。
どんなにもがき苦しむようなことがあっても、「この経験は私に何を教えてくれているんだろう」と考えられる状況に自分が変わったとき、ふと楽になるんですよね。40代で乳がんを患い、立て続けに子宮の病気にかかったときにも、この本を読んでいたことが心の支えになりました。
―― まさに、「教訓を学んだら苦痛は消え失せる」ということですね。
小巻 そうです。その冒頭から引き込まれて、何度も読み込みました。「死」がテーマなのですが、それは同時に「生きる」ことをテーマにした本でもあって、すごく心にズシンときました。
―― 最初に読んだのは何歳のときですか?
小巻 45歳のときです。子どもを亡くした直後は、本を読む気力もなかったんです。頭に何も入ってこなかったので。ずっと自分の感情に蓋をして生きてきたのですが、コーチングを学ぶプロセスの中で、自分と深く向き合わざるを得なくなりました。