自分に限界を設けない岡ひろみが、弱った心に元気をくれる

―― そんな村木さんにとっての、ここぞという時の「逆転の一冊」を挙げるとすると?

村木 同じ本を何度も読み返すことはほぼないのですが、唯一、学生時代に初めて読んで、いまだに読み返すのが『エースをねらえ!』(山本鈴美香/集英社)です。もう何十回と読んでいる、私の座右の書です。

―― 意外な選書でした! 主人公の高校生・岡ひろみが、テニス選手として成長する姿を描く、スポ根マンガですよね。

村木 岡ひろみがテニスの強豪校・西高のテニス部に入部してからが描かれていて、彼女自身もすごくフレッシュで、読んでいるうちに、私もどこか初心に戻れる感覚があります。

―― 主人公のどんなところに引かれますか?

村木 海外の選手が、ひろみのことを「彼女のプレイには性別がないんだよ」というシーンがあります。彼女は素直で、教えられたことを素直に吸収し、「自分は女だからここまでしかできない」とは絶対に考えない。自分に限界を設けないところがすごく好きなんです。

1973年に『週刊マーガレット』で連載が始まり、テニスブームを起こしたスポ根マンガ。 「ここまでだと思ったとき、もう一歩ねばれ」、「男なら女の成長をさまたげるような愛し方はするな!」など名言が満載!
1973年に『週刊マーガレット』で連載が始まり、テニスブームを起こしたスポ根マンガ。 「ここまでだと思ったとき、もう一歩ねばれ」、「男なら女の成長をさまたげるような愛し方はするな!」など名言が満載!