国内のコレクションで構成された2つの展覧会が開催中です。国立美術館のコレクションから「眠り」をテーマに作品を選んだ(決して眠くならない)展覧会と、3つの公立美術館のコレクションから20世紀の西洋美術史を通観した展覧会。コロナ禍で海外からの美術作品の輸送が容易ではなくなった今、改めて国内のコレクションに目を向ける冬にするのはいかがでしょう。

 今回ご紹介するのは、国内のコレクションに目を向けた2つの展覧会。「眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで」(2021年2月23日まで、東京国立近代美術館)と、3つの大型公立美術館がタッグを組んだ「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション」展(2021年2月28日まで、横浜美術館)です。

芸術は「眠り」から生まれる?

 東京国立美術館で開催中なのは、「眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで」(2021年2月23日まで)。東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館など国立美術館の計4万4000点に及ぶ美術作品から、絵画、映像、立体、インスタレーションなど119点が展示されています。

 「眠りが芸術を生み出す原点」であることを描いたゴヤの象徴的な作品から、「眠り」という言葉から連想される生の悲しみ、内省、死、目覚めを描いた作品まで、めくるめく眠りワールドが展開。見どころの一つは、意外な作品の取り合わせです。17世紀のペーテル・パウル・ルーベンス『眠る二人の子供』と近代作家・海老原喜之助『姉妹ねむる』、藤田嗣治(レオナール・フジタ)とギュスターヴ・クールベの目を閉じた裸婦像が並ぶのは、テーマ展ならではです。

すやすやと眠る2人、官能的に眠る裸婦を描いた作品
すやすやと眠る2人、官能的に眠る裸婦を描いた作品
すやすやと眠る2人、官能的に眠る裸婦を描いた作品
小林孝亘『Pillows』(1997年)。「眠る人がいない状態」が示すことは? 枕をこんなに見つめる日が来ようとは! 枕を一生分見つめた気がします
小林孝亘『Pillows』(1997年)。「眠る人がいない状態」が示すことは? 枕をこんなに見つめる日が来ようとは! 枕を一生分見つめた気がします