新型コロナウイルスの影響で延期になっていた美術展が、日時指定やマスク着用など、新たな鑑賞スタイルを提示したうえで軒並み開幕。この夏、見逃せない展覧会が出そろいました。特にARIA世代にお薦めの5つを厳選してご紹介します!
3年に1度のヨコトリで考える「人は毒と共存できる?」
3年に1度、横浜を舞台に繰り広げられる現代アートの大規模国際展「ヨコハマトリエンナーレ2020」が7月17日に開幕しました。国内外から約70組のアーティストが参加する今回は、「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」をタイトルに、横浜美術館とプロット48を中心に作品が展示されています。
横浜トリエンナーレが始まったのは2001年。今でこそ各地で「トリエンナーレ」と呼ばれる3年に1度の現代美術展が開催されていますが、日本における元祖と言える存在が横浜トリエンナーレです。今回、アーティスティック・ディレクターを務めたのは、3人のインド人アーティスト集団「ラクス・メディア・コレクティヴ」。彼らが提示した展示の鍵となる5つの言葉は「独学(自らたくましく学ぶ)」「発光(学んで得た光を遠くまで投げかける)」「友情(光の中で友情を育む)」「ケア(互いを慈しむ)」、「毒(世界に否応なく存在する毒と共存する)」。
この言葉が発表されたのは2019年11月、新型コロナウイルス感染拡大前のこと。現代アートは社会情勢や世相を映し出す鏡、と言われますが、時代を予見するかのような「毒」が含まれていたことに驚きます。他の言葉も、コロナ禍の今こそ大切にしたいと思えるような言葉ばかり。これらの言葉と共鳴する作品と対峙すれば、今の世界が抱える問題点の新たな一面、そしてなんらかの光が見えてくるかもしれません。また、作品に添えられるのは、明確な解説ではなく、詩的な解釈。時になるほどと膝をたたき、時に頭がぐるぐると混乱……時間をかけて一つひとつの作品とじっくり向き合いたい展覧会です。
会場:横浜美術館 横浜市西区みなとみらい3-4-1
:プロット48 横浜市西区みなとみらい4-3-1
料金:一般2000円
※日時指定制。詳細は展覧会公式ウェブサイトで案内